解答の中の事実と意見

技術士試験に限らずいわゆる論文試験の場合は、問題文があってそれに文章で解答するのが論文試験です。

2018/03/08

解答の中の事実と意見

ここで、もう一度原点に戻り論文とは何かを考えて見ましょう。

本来の論文は、自分で問題を見つけ仮説を立ててそれを立証します。
しかし、技術士試験に限らずいわゆる論文試験の場合は、問題文があってそれに文章で解答するのが論文試験です。

言い換えると、論文とはあるパターンに従って書く文章です。
また、論文の場合は、必ず読み手がいます。
これは、備忘録やメモと大きく異なります。

相手がいると言うことは書いた文章が相手に伝わらなければ意味がありません。
問題文の題意に沿って、あなたの意見が纏められて、
論理的に書かれていないと相手に伝わることはありません。

限られた時間と限られた紙面の中で自分の意見を相手に伝えること、
それが試験解答論文の果たす役割です。

そのために何をすべきでしょうか?
最初にすべきは、事実と意見の峻別です。
これは、明確に分けて下さい。

仕事の文書を書くときには、事実と意見(判断〕との区別を明確にすることがとくに重要だと言われていると思います。
しかし、単純な話を別としてこれは言うほど簡単なことではありません。

例えば、

安倍総理は、平成30年2月24日時点で日本国の内閣総理大臣です。(これは事実)
安倍総理は、これまでの日本国の内閣総理大臣で最も優れた総理大臣です。(これは意見)

こんな話なら簡単です。

しかし、以下の例として

近頃では、会社員も学生も文章を書く能力が低下していると良く言われている。
しかし、これは特に不思議なことではない。現在、大学の学部で文学部は人気がない。
言語学など最も人気のない学部であり、履修科目としても言語学は人気の無い科目である。
要するに、言葉を操り文章を組み立てるという訓練を行っていないのである。
これで、文章を書く能力を上げろと言われてても無理だ。

上記の文章を読んで最初は意見で始まり、後半は事実として扱われていることに気づいたでしょうか?

科学技術の論文や読み物でもこの手の文章は多くあります。
と言うよりもこちらが普通でしょう。
この手の文章が混じり込むと、伝わらない文章になるのです。

要するに、論理性に乏しく何を根拠にそんなことを言うのだろう?と読み手は思ってしまうのです。

No Image 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール

1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。

次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。

匠習作技術士事務所代表技術士
プロフェッショナルエンジニア養成コンサルタント、医療機器業界転進コンサルタント、医工コーディネーター日本技術士会会員・日本機械学会会員・失敗学会会員、人工知能学会会員、日本医工ものづくりコモンズ会員、日本シャーロックホームズクラブ会員、放送大学大学院在学中

『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。