株式会社の資本金に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.資本金の額は,会社の財産の増減と連動して増減する。
イ.資本金は,貸借対照表において,資産の部に計上される。
ウ.募集株式の発行に際して,株主となる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額の2分の1を超えない額を資本金として計上しないときは,資本金として計上しない額は,利益準備金として計上しなければならない。
エ.自己株式の処分により,資本金の額は増加しない。
オ.資本金の額の減少は,債権者異議手続が終了していないときは,その効力を生じない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答:5
ア 誤り
資本金は、法律の規定により計上を義務付けられる計算上の数額です。
新株発行の際には増加しますが(445条1項)、剰余金の額を減少して資本金の額を増加することもできることから、必ずしも会社の財産の増加と連動して増加するとはいえません。
また、会社財産が減少したとしても資本金の額は減少せず、原則として減少の手続(447条)をとらなければ減少しないことから、会社財産の減少と連動して減少するともいえません。
したがって、記述アは誤っています。
イ 誤り
資本金は、貸借対照表において、純資産の部に計上されます(会社計算規則76条1項1号イ、同条2項1号)。
したがって、記述イは資産の部としている点で誤っています。
ウ 誤り
募集株式の発行に際して、株主となる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額は資本金の額となりますが(445条1項)、その2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができ(同条2項)、計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければなりません。
したがって、記述ウは利益準備金としている点で誤っています。
エ 正しい
自己株式の処分をしたとしても、新株の発行をした場合とは異なり、資本金の額は増加しません(445条1項参照)。
したがって、記述エは正しいといえます。
オ 正しい
資本金の額の減少は、株主総会の決議によって、資本金の額の減少がその効力を生ずる日として定めた日に効力を生じますが(449条6項1号)、債権者異議手続が終了していないときは、その効力を生じません(同項ただし書き)。
したがって、記述オは正しいといえます。