監査役会設置会社の監査役に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.監査役会は,2人以上の常勤監査役を選定することができる。
イ.監査役が4人いるときは,少なくとも2人は,社外監査役でなければならない。
ウ.監査役が4人いる場合において,監査役会に出席した監査役が3人いるときは,そのうち2人の賛成により監査役会の決議が成立する。
エ.会社は,監査役が監査役会の決議の目的である事項について提案をした場合において,その提案につき監査役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは,その提案を可決する旨の監査役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
オ.監査役を解任する株主総会の決議は,定款に別段の定めがない限り,議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し,出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答:1
ア 正しい
監査役会は、常勤の監査役を選定しなければならず(390条3項)、その人数についての定めはありません。複数の常勤の監査役を設けることは、会社の監査体制を充実させるものであるといえ、2人以上の常勤監査役も選定することも可能であると解されます。
したがって、記述アは正しいといえます。
イ 正しい
監査役会設置会社において、監査役は3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません(335条3項)。そのため、監査役が4人である場合、2人以上は社外監査役でなければなりません。
したがって、記述イは正しいといえます。
ウ 誤り
監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行われます(393条1項)。取締役会決議のように(369条1項)、出席者の過半数という規定にはなっていないことから、全監査役の過半数の賛成が必要と解されます。そのため、監査役が4人いる場合は、過半数である3人の賛成が必要となります。
したがって、記述ウは誤っています。
エ 誤り
取締役会決議については、書面による同意の意思表示で、提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができますが(370条)、監査役会決議について同様の規定はありません。
したがって、記述エは誤っています。
オ 誤り
監査役を解任する株主総会の決議(339条1項)は、他の役員や会計監査人とは異なり341条の適用はなく(343条4項)、特別決議による必要があります(309条2項7号)。
したがって、記述オは誤っています。