問題
裁判に対する不服申立てに関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。
1.忌避の申立てを認容する決定に対しては,不服を申し立てることができない。
2.移送の申立てを却下する決定に対しては,不服を申し立てることができる。
3.文書提出義務がないことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては,不服を申し立てることができない。
4.補助参加の申出を認める決定に対しては,不服を申し立てることができない。
5.訴訟費用の負担の裁判に対しては,独立して不服を申し立てることができない。
解答・解説
解答:3、4
1 正しい
忌避の申立てを認容する決定に対しては、不服を申し立てることができません(25条4項)。
したがって、記述1は正しいといえます。
なお、忌避の申立てを理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができます(25条5項)。
2 正しい
移送の申立てについては、認める決定に対しても、却下する決定に対しても、即時抗告をすることができます(21条)。
したがって、記述2は正しいといえます。
3 誤り
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができます(223条7項)。(ただし却下する決定に対しては、設問のように文書提出義務が無いことを理由とする場合であれば即時抗告ができますが、下記のとおり、証拠調べの必要性を欠くことを理由に却下する場合は即時抗告できません。)
したがって、記述3は誤っています。
なお、設問のように文書提出義務がないことを理由とするものではなく、証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由に独立の不服申し立てをすることはできません(最決H12.3.10)。これは、証拠の採否に関する決定であり、訴訟指揮に関する裁判であるため、一般に不服を申し立てることができないと解されているためです。
4 誤り
補助参加の申出については、当事者が異議を述べたとき、補助参加の許否について裁判がされます(44条1項)。その結果、補助参加の申出を認める決定がされたとき、即時抗告をすることができます(44条3項)。
したがって、記述4は誤っています。
5 正しい
訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して上訴をすることができません(282条)。
したがって、記述5は正しいといえます。