民法-同時履行の抗弁
予備試験平成27年 第11問

司法試験ピックアップ過去問解説

問題

AがA所有の宝石を代金100万円でBに売却した際,その宝石の代金債務と宝石の引渡債務の履行期を同一とすることがAB間で合意された。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。


ア.A及びBが各自の債務を履行した後に,第三者Cの詐欺を理由としてBがAB間の売買契約を取り消した場合,AのBに対する宝石代金の返還債務とBのAに対する宝石の返還債務とは,同時履行の関係にある。


イ.AがBに対する宝石の代金債権を第三者Dに譲渡してBにその旨を通知した後,Bが遅滞なく異議を述べなかった場合,Bは,Dからの宝石代金の支払請求に対し,同時履行の抗弁権を行使することができない。


ウ.AがBに対して別の貸金債務を負っている場合,BのAに対する宝石の代金債務についてその履行期が到来しても,Aは,AのBに対する宝石の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは,AのBに対する宝石の代金債権とBのAに対する別の貸金債権とを対当額で相殺することができない。


エ.AがBに対して宝石代金の支払を求める訴えを提起した場合,Bの同時履行の抗弁が認められるときは,Aの請求は全部棄却される。


オ.BがAに対して宝石の引渡債務の履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合,Bが宝石の代金債務の弁済の提供をしていないときは,Bの請求は全部棄却される。


1.ア イ  2.ア オ  3.イ エ  4.ウ エ  5.ウ オ



解答・解説

解答:3

ア 正しい

売買契約において、買主・売主の双方が債務を履行した後、第三者の詐欺を理由に取り消された場合、買主は目的物の返還債務を、売主は代金の返還債務を負うことになり、これらの債務は、533条の類推適用により、同時履行の関係に立つと解されています(最判S47.9.7)。

したがって、記述アは正しいといえます。

イ 誤り

AB間の売買契約には、それぞれ、同時履行の抗弁権が付着しています。

そして、債権が譲渡され、譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者はその通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できる(468条2項)ことから、Bは譲受人Dからの宝石代金の支払請求に対し、同時履行の抗弁権を行使することができます

したがって、記述イは誤っています。

ウ 正しい

自働債権に同時履行の抗弁権が付着しているとき、相殺はすることができません(大判S13.3.1)。

AB間の売買契約により、AのBに対する代金債権にはBの同時履行の抗弁権が付着しています。そのため、Aは、この代金債権を自働債権として、BのAに対する別の貸金債権とを相殺することはできません

したがって、記述ウは正しいといえます。

エ 誤り

同時履行の抗弁権が付着している債権を行使して訴えを提起し、その同時履行の抗弁権が行使された場合、訴えは棄却されるのではなく、引換給付判決(「被告は、○○を受けるのと引き換えに、原告に対して○○せよ」という形式の判決)がされます(大判M44.12.11)。

したがって、記述エは誤っています。

オ 正しい

自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、自己の債務の弁済の提供をしていない限り、相手方は遅滞の責任を負いません(大判T14.10.29)。そのため、履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起したとしても、自己の債務の提供をしていなければ、請求は棄却されることとなります。

したがって、記述オは正しいといえます。

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