刑訴法-補強証拠
予備試験平成28年 第23問

司法試験ピックアップ過去問解説

問題

次の【会話】は,乙と共謀の上,丙を殺害したという事件で起訴された甲の公判において,「甲の指示により丙を殺害した。」旨の乙の供述のみによって,甲を有罪とすることはできるかについての議論である。甲を有罪とすることはできるとの立場から発言する学生の人数は,後記1から5までのうちどれか。


【会話】

学生A:この場合に問題となるのは,共犯者の自白にいわゆる補強証拠が必要か,すなわち,憲法第38条第3項,刑事訴訟法第319条第2項により,「本人の自白」を唯一の証拠として有罪とすることは許されず,補強証拠が必要とされるところ,この「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるかということですよね。

学生B:補強法則は,自由心証主義の例外ですから,条文の解釈は厳格に行うべきだと思います。

学生C:私は,自白偏重防止という観点から,本人の自白と共犯者の自白とで区別すべきではないと考えます。

学生D:私は,他に補強証拠がない場合に,自白した者が無罪となり,否認した者が有罪となるような非常識な結論を導く解釈を採ることは,許されないと思います。

学生A:自白した者が無罪となるのは,自白に補強証拠がないためであり,否認した者が有罪となるのは,共犯者の供述が信用できると判断された結果だから,別に不合理ではないでしょう。

学生B:共犯者の自白に対しては反対尋問ができるのだから,被告人本人の自白とは違いますよ。

学生C:誤判のおそれという観点からは,むしろ共犯者の自白の方が危険だということも考えるべきでしょう。

学生D:共犯者は,自己の刑事責任を免れ又は軽くするために,他人を巻き込んだり責任転嫁したりするような供述をする危険性がありますからね。


1.0人  2.1人  3.2人  4.3人  5.4人


解答・解説

解答:3

学生Bは、条文の解釈は厳格に行うべきとしたうえで、共犯者の自白は被告人本人の自白とは異なるとの見解を述べています。

この見解からは、319条2項は「自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合」と規定しており、これに共犯者の自白は含まないということになるため、共犯者の自白が本人に不利益な唯一の証拠である場合であっても、本人を有罪とすることができるといえます。

したがって、乙の自白のみで甲を有罪とすることはできるとの立場であるといえます。


学生Cは、自白偏重防止の観点から、本人の自白と共犯者の自白を区別すべきではなく、誤判のおそれの観点から、むしろ共犯者の自白の方が危険だと述べています。

この見解からは、319条2項の自白には共犯者の自白も含めて解釈すべきであり、補強法則が誤判のおそれを防止するものであることを前提に、共犯者の自白の方が危険であることから、共犯者の自白のみで本人を有罪とすることは許されないとの帰結になります。

したがって、乙の自白のみで甲を有罪とすることはできるとの立場ではありません。


学生Dは、他に補強証拠が無い場合に、自白した者が無罪となり、否認した者が(319条2項によって)有罪となる結論は非常識であると述べ、共犯者による巻き込みの危険性について触れています。

この見解からは、共犯者による自白は信用性が低いことを前提に、非常識な結論となるのを避けるため、319条2項の自白には共犯者の自白も含まれ、共犯者のみの自白で本人を有罪とすることは許されないとの帰結になります。

したがって、乙の自白のみで甲を有罪とすることはできるとの立場ではありません。


学生Aは、学生Dの『結論が非常識となる』との意見を受けたうえで、共犯者の自白で、その共犯者が無罪となり、否認した者がその共犯者の自白を証拠として有罪となっても、それは共犯者の供述が信用できると判断された結果であり、不合理ではないと述べています。

この見解からは、319条2項の自白はあくまで自己の自白に限ると解したうえで、共犯者の自白は含まれず、共犯者の自白はあくまでも通常の証拠のひとつとして、その信用性を吟味すればよいとの帰結になります。

したがって、乙の自白のみで甲を有罪とすることはできるとの立場であるといえます。

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