憲法-私人間における人権保障
予備試験平成28年 第1問

司法試験ピックアップ過去問解説

問題

私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.企業者は,雇用の自由を有するから,労働者の思想,信条を理由として雇入れを拒んでも当然に違法ということはできないが,労働者の採否決定に当たり,その思想,信条を調査し,労働者に関連事項の申告を求めることまでは許されない。

ア 

イ.大学は,その設置目的を達成するため,必要な事項を定めて学生を規律する権能を有するから,私立大学が,その伝統,校風や教育方針に鑑み,学内外における学生の政治的活動につき,かなり広範な規律を及ぼしても,直ちに不合理ということはできない。

イ 

ウ.長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。

ウ 



解答・解説

解答:ア.2  イ.1  ウ.2

ア 誤り

企業である使用者と被用者とは私人であることから、「もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するもの」である憲法の規定は直接には適用されません(最大判S48.12.12)。そして、「いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」ため、「企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない。」とされています(同判例)。

したがって、記述アは、申告を求めることが許されないとしている点で誤っています。


イ 正しい

判例(最判S49.7.19)は、「大学は、国公立であると私立であるとを問わず、学生の教育と学術の研究を目的とする公共的な施設であり、法律に格別の規定がない場合でも、その設置目的を達成するために必要な事項を学則等により一方的に制定し、これによつて在学する学生を規律する包括的権能を有する」としたうえで、「私立大学のなかでも、学生の勉学専念を特に重視しあるいは比較的保守的な校風を有する大学が、その教育方針に照らし学生の政治的活動はできるだけ制限するのが教育上適当であるとの見地から、学内及び学外における学生の政治的活動につきかなり広範な規律を及ぼすこととしても、これをもつて直ちに社会通念上学生の自由に対する不合理な制限であるということはできない。」としています。

したがって、記述イは正しいといえます。


ウ 誤り

判例は、各世帯の代表者のみ入会権者の地位を認めるという慣習は、不合理とはいえず公序良俗に反するものということはできないとする一方で、「本件慣習のうち、男子孫要件は、専ら女子であることのみを理由として女子を男子と差別したものというべきであり、遅くとも本件で補償金の請求がされている平成4年以降においては、性別のみによる不合理な差別として民法90条の規定により無効である」としています。

したがって、記述ウは、入会権者を原則として男子孫に限る旨の慣習が、直ちに公序良俗に反するとはいえないとしている点で誤っています。

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