次の【記述】中の①から⑨までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【記述】
強盗罪における強取とは,相手方の反抗を①(a.困難にする・b.抑圧する)に足りる程度の暴行・脅迫を加え,相手方の②(c.意思に反し・d.瑕疵ある意思に基づき),相手方の占有に属する財物を自己又は第三者の占有に移転することをいう。強取と③(e.窃盗罪における窃取・f.恐喝罪における喝取)との区別は,実行行為としての暴行・脅迫の有無であり,強取と④(g.窃盗罪における窃取・h.恐喝罪における喝取)との区別は,相手方の反抗を①(a.困難にする・b.抑圧する)に足りる程度の暴行・脅迫であるか否か,つまり,暴行・脅迫の程度である。それゆえ,恐喝罪は,⑤(i.委託物横領罪・j.詐欺罪)と同様,相手方の⑥(k.意思に反し・l.瑕疵ある意思に基づき),財物を交付させる犯罪である。そして,強盗罪や⑦(m.窃盗罪・n.恐喝罪)のように,相手方の②(c.意思に反し・d.瑕疵ある意思に基づき),相手方の占有に属する財物を自己又は第三者の占有に移転する犯罪を⑧(o.奪取罪・p.交付罪)と呼び,恐喝罪や⑤(i.委託物横領罪・j.詐欺罪)のように,相手方の⑥(k.意思に反し・l.瑕疵ある意思に基づき),相手方の占有に属する財物を自己又は第三者の占有に移転する犯罪を⑨(q.奪取罪・r.交付罪)と呼んで区別することができる。
1.①a ②c ③e ④h ⑤j ⑥k ⑦n ⑧p ⑨q
2.①b ②c ③e ④h ⑤j ⑥l ⑦m ⑧p ⑨q
3.①a ②d ③f ④g ⑤i ⑥l ⑦n ⑧p ⑨q
4.①b ②d ③f ④g ⑤i ⑥k ⑦m ⑧o ⑨r
5.①b ②c ③e ④h ⑤j ⑥l ⑦m ⑧o ⑨r
解答:5
①について
強盗罪における強取とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫をいいます。したがって、bが正しいです。
②について
①のとおり、強盗罪は相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫により、財物を強取する罪です。そのため、相手方の主観との関係では、意思に反して財物の占有を移転することになるため、cが正しいです。なお、恐喝罪や詐欺罪の場合が、瑕疵ある意思に基づくものです。
③について
強盗罪と、実行行為としての暴行・脅迫の有無で区別されるのは窃盗罪ですので、eが正しいです。
④について
強盗罪と、暴行・脅迫の程度で区別されるのは恐喝罪ですので、hが正しいです。なお、恐喝罪における喝取とは、暴行・脅迫によるもの(ただしその程度は相手方を畏怖させる程度のもの)と解されています。
⑤⑥について
②で解説したとおり、恐喝罪や詐欺罪の場合が、相手方の瑕疵ある意思に基づき財物を交付させる犯罪ですので、j、lが正しいです。
なお、委託物横領罪は、財物の占有をすでに持っている場合の罪ですから、財物を「交付させる」犯罪ではありません。
⑦⑧について
相手方の意思に反して財物の占有を移転する犯罪を奪取罪と呼び、強盗罪や窃盗罪がこれに当たりますので、m、oが正しいです。
⑨について
恐喝罪や詐欺罪のように、相手方の瑕疵ある意思に基づき占有を移転する犯罪は、交付罪と呼びますので、rが正しいです。