行政法-損失補償
予備試験平成26年 第24問

司法試験ピックアップ過去問解説

問題

損失補償に関する次のアからエまでの各記述は,最高裁判所の判例の内容を示したものである(かぎ括弧内の記述は,最高裁判所の判例の原文をそのまま抜き出したものである。)。4つのうち,損失補償の要否の判断に影響を及ぼした主要な要素が他の判例と最も異なっているものを1つ,後記1から4までの中から選びなさい。


ア.「鉱業法六四条の定める制限は,鉄道,河川,公園,学校,病院,図書館等の公共施設及び建物の管理運営上支障ある事態の発生を未然に防止するため,これらの近傍において鉱物を採掘する場合には管理庁又は管理人の承諾を得ることが必要であることを定めたものにすぎず,この種の制限は,公共の福祉のためにする一般的な最小限度の制限であり,何人もこれをやむを得ないものとして当然受忍しなければならないものであつて,特定の人に対し特別の財産上の犠牲を強いるものとはいえないから,同条の規定によつて損失を被つたとしても,憲法二九条三項を根拠にして補償請求をすることができないものと解するのが相当である。」

イ.奈良県ため池の保全に関する条例は,「災害を防止し公共の福祉を保持するためのものであり,その四条二号は,ため池の堤とうを使用する財産上の権利の行使を著しく制限するものではあるが,結局それは,災害を防止し公共の福祉を保持する上に社会生活上已むを得ないものであり,そのような制約は,ため池の堤とうを使用し得る財産権を有する者が当然受忍しなければならない責務というべきものであつて,憲法二九条三項の損失補償はこれを必要としないと解するのが相当である。」

ウ.都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向かって取り消された事案においては,「都有行政財産たる土地につき使用許可によつて与えられた使用権は,それが期間の定めのない場合であれば,当該行政財産本来の用途または目的上の必要を生じたときはその時点において原則として消滅すべきものであり,また,権利自体に右のような制約が内在しているものとして付与されているものとみるのが相当である」から,使用権者は,特別の事情のない限り,その取消しによる土地使用権喪失についての補償を求めることはできない。

エ.道路法70条1項による「補償の対象は,道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむを得ない必要があつてした前記工作物の新築,増築,修繕若しくは移転又は切土若しくは盛土の工事に起因する損失に限られると解するのが相当である。したがつて,警察法規が一定の危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合において,道路工事の施行の結果,警察違反の状態を生じ,危険物保有者が右技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ,これによつて損失を被つたとしても,それは道路工事の施行によつて警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至つたものにすぎず,このような損失は,道路法七〇条一項の定める補償の対象には属しないものというべきである。」


1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ



解答・解説

解答:3

記述アは最判S57.2.5を引用したものです。

同判例は、「公共施設及び建物の管理運営上支障ある事態の発生を未然に防止する」という消極目的の規制であることに着目して損失補償の要否を判断したものといえます。


記述イは最大判S38.6.26を引用したものです。

同判例は、「災害を防止し公共の福祉を保持する」という消極目的の規制であることに着目して損失補償の要否を判断したものといえます。


記述ウは最判S49.2.5を引用したものです。

同判例は、「権利自体に右のような制約が内在している」として、被侵害利益の性質に着目して損失補償の要否を判断したものといえます。


記述エは最判S58.2.18を引用したものです。

同判例は、生じる損失が「警察規制に基づく」ものであるとしていることから、制限が消極目的の規制であることに着目して損失補償の要否を判断したものといえます。

以上のとおり、損失補償の要否の判断に影響を及ぼした主要な要素が他の判例と最も異なっているのは記述ウの判例であるといえます。

合否を分けるのは、
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