訴訟能力に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.成年被後見人が自らした訴訟行為は,取り消すことができる。
2.婚姻している未成年者は,自ら訴訟行為をすることができる。
3.未成年者は,人事訴訟においては,意思能力を有する限り,自ら訴訟行為をすることができる。
4.被保佐人が相手方の提起した訴えにおいて請求原因事実を認める旨の陳述をするには,保佐人の同意を要しない。
5.家庭裁判所は,被補助人が訴訟行為をするには補助人の同意を要する旨の審判をすることができる。
解答:1
1 誤り
成年被後見人は訴訟無能力者であり(31条本文)、成年被後見人が自らした訴訟行為は、取り消すことができるのではなく、無効となります。
したがって、記述1は誤っています。
2 正しい
訴訟能力は民法その他の法令に従うところ(28条)、未成年者であっても、婚姻した場合には成年に達したものとみなされます(民753条)。その結果、当該未成年者は訴訟能力者となるため、自ら訴訟行為をすることができます。
したがって、記述2は正しいといえます。
3 正しい
未成年者は訴訟無能力者ではありますが(31条本文)、人事訴訟においては同条の適用はなく(人訴13条1項)、自ら訴訟行為をすることができます。
したがって、記述3は正しいといえます。
4 正しい
被保佐人は、相手方の提起した訴えに応訴する場合は、保佐人の同意なく訴訟行為をすることができます(32条1項)。また、32条2項に掲げる事項については保佐人の同意が必要ですが、請求原因事実を認める旨の陳述は同項に挙げられていません(請求の認諾とは異なります)。
したがって、記述4は正しいといえます。
5 正しい
被補助人は、補助人の同意を得なければならない旨の審判を受けた事項についてのみ、同意を得なければできないこととなります。そして家庭裁判所は、訴訟行為をする補助人の同意を要する旨の審判をすることができます(民17条1項、13条1項4号)。
したがって、記述5は正しいといえます。