刑事訴訟法-捜査機関の権限
司法試験平成25年 第21問

司法試験ピックアップ過去問解説

問題

捜査機関の権限に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。

1.検察官は,司法警察員の取調べに際して任意の供述をした犯行の目撃者が,公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり,かつ,その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には,第1回公判期日前に限り,裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

2.司法警察員は,告訴を受けた事件に関する書類及び証拠物について,当該事件について犯罪の嫌疑がないものと思料するときは,検察官に送付しないことができる。

3.検察官は,司法警察員から送致を受けた事件であっても,捜査の必要があると思料するときは,自ら,捜索差押許可状の発付を受けて,捜索差押えを行うことができる。

4.司法警察員は,少年の被疑事件について捜査を遂げた結果,罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは,これを検察官ではなく家庭裁判所に送致しなければならない。

5.司法巡査は,犯罪の捜査について必要があるときは,犯罪の被害者の出頭を求め,これを取り調べることができる。


解答・解説

解答:2

1 正しい
227条1項は、「第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判にその者の証人尋問を請求することができる。」と定めています。
したがって、記述1は正しいといえます。

2 誤り
242条は「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」と定めています。
したがって、記述2は誤っています。

3 正しい
検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができます(191条1項)。これは、司法警察員から送致を受けた事件であっても同様で、検察官は自ら捜索差押許可状の発付を受けて、捜索差押えを行うことができます(218条1項)。
したがって、記述3は正しいといえます。

4 正しい
司法警察員が犯罪の捜査をしたときは、書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならないのが原則ですが(246条)、少年の被疑事件の場合、家庭裁判所に送致しなければなりません(少年法41条)。
したがって、記述4は正しいといえます。

5 正しい
司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとされています(189条2項)。そして、司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者(犯罪の被害者を含みます。)の出頭を求め、これを取り調べることができます(223条1項)。
したがって、記述5は正しいといえます。

学習するには

基本講座-刑事訴訟法4 捜査(1)捜査総論、捜査の端緒(1)

司法試験・予備試験講座を、今すぐ無料でお試しできます!
無料会員登録で4大特典を進呈!

短期合格セミナー 学習スタートガイド冊子
民法判例論証30 10%OFFクーポン
お申込み後すぐに受講が試せる!
自動契約・更新はありません
無料会員登録(特典を入手)