知る権利や表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには✕を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.表現の自由は,公立図書館に自己の著作物の収蔵を求めることまで保障するものではないから,公立図書館で閲覧に供された図書を職員が著作者の思想や信条を理由として廃棄することは,その思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものとはいえない。
イ.放送事業者は,限られた電波の使用の免許を受けた者であって,公的な性格を有するものであり,放送による権利侵害や放送された事項が真実でないことが判明した場合に訂正放送が義務付けられているが,これは視聴者に対し反論権を認めるものではない。
ウ.集団行動を法的に規制する場合,表現の自由の保障に可能な限り配慮する必要があるため,集団行動が行われ得るような場所を包括的に掲げたり,その行われる場所のいかんを問わないものとしたりすることは許されない。
1.ア〇 イ〇 ウ〇
2.ア〇 イ〇 ウ ✕
3.ア〇 イ ✕ ウ〇
4.ア〇 イ ✕ ウ ✕
5.ア ✕ イ〇 ウ〇
6.ア ✕ イ〇 ウ ✕
7.ア ✕ イ ✕ ウ〇
8.ア ✕ イ ✕ ウ ✕
解答:6
ア 誤り
最判平成17年7月14日の内容を問う設問です。最高裁は、「閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは、当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうもの」としています。
したがって、設問は誤っています。
なお、「(既に)閲覧に供された図書の著作者」の利益についての判断であって、未だ閲覧に供されていない図書の著作者の権利については本件では触れられていません。
イ 正しい
最判昭和62年4月24日の内容を問う設問です。最高裁は、設問のように述べ、反論権を否定しました。
したがって、設問は正しいといえます。
ウ 誤り
最大判昭和35年7月20日の内容を問う設問です。最高裁は、「道路その他公共の場所」や「場所のいかんを問わず」規制する定めを置いている条例について、集団行動に対する止むを得ない制限であるとしています。
したがって、設問は誤っています。