2026/08/06
前回の記事を参考に、無事に「再現解答」の作成は完了しましたでしょうか?「出来栄えはともかく、とりあえず形にした」という方も、まずは記憶が新しいうちに書き切った自分を褒めてあげてください。その行動こそが、11月からの口頭試験対策を大きく左右する貴重な資産となります。
さて、お盆休みを目前に控えたこの時期、次にやるべきステップは「自分の実力を冷徹に見つめ直すこと」です。
試験直後の「手応えがなかったからダメだ」「いや、意外と書けたはずだ」という主観的な感情(自己採点)には意味がありません。技術士試験を突破するためには、採点官と同じ目線、すなわち「コンピテンシー(資質能力)の物差し」を使って、自分の再現答案を徹底的に客観視する必要があります。
公式な発表こそありませんが、実際の試験採点は非常に厳格な「減点方式」で行われているのが実態です。今回は、お盆休みの時間を使って一人で実践できる、容赦のない再現答案のセルフ評価法を解説します。
減点方式の採点において最も恐ろしいのは、どんなに素晴らしい技術論を1カ所に書いても加点による挽回はできず、「設問条件の漏れ」や「論理の破綻」があれば容赦なく点数が削られていくという点です。
特に、採点官(試験委員)は「技術士としてふさわしくない記述」を見つけた瞬間、一気に評価を下げてきます。
私の指導方針では、論文の合否判定に「優・良・可・不可」のみを用います。受講生の皆さんもプロのエンジニアとして、自分自身に敬意を払いつつも、甘さを一切捨てて以下の減点チェックリスト(物差し)に再現答案を当てはめてみてください。
「明確化」「高度化」などの抽象的な言葉でお茶を濁していないか: 何がどうなるのか採点者に伝わらない文章は、専門的学識の不足として減点対象です。観点は抽象的でも、課題は具体的かつ実直に数値や原因(真因)を記述できているか確認してください。
解決策の中身がブラックボックスになっていないか: 「DXを推進する」「IoTを活用する」とだけ書き、具体的な「手順や工夫」が抜けているものは一般論とみなされ、大きく減点されます。
リスクが「実施前のハードル」や「事故後対応」になっていないか: 「予算不足」や「システムが止まったらバックアップをとる」は、設問(3)の問いに答えていません。解決策が成功した後に発生する「未来の副作用(波及効果)」を予見できていなければ、コンピテンシー「評価」で致命的な減点を喰らいます。
倫理が「最後の飾り」の定型文になっていないか: 「法令を遵守する」というだけの薄い記述は、技術者倫理の理解不足とみなされます。公衆の安全や福利を最優先するための「具体的な行動原則」が、課題の背景と繋がっている必要があります。
相反する要求事項(トレードオフ)をスルーしていないか: コスト、品質、安全性など、現場で必ず発生するトレードオフの特定と、その具体的な調整方法が述べられていなければ、選択科目Ⅲでは合格ライン(良以上)に届きません。
文章の表現そのものも、厳格な減点対象です。 一文が長く、接続助詞(〜し、〜であり、)でダラダラと繋がった論文は、主語と述語の係り受けが迷子になり、それだけで「コミュニケーション能力不足」として容赦なく減点されます。
書き上げた一文が50文字以内に収まっているか、結論が先に示されているか、厳しく確認してください。
セルフ評価を行い、もし「可」や「不可」の減点地雷を踏んでいる箇所が見つかったとしても、決して絶望する必要はありません。
なぜなら、今自分の弱点を正直に、正確に把握しておくことこそが、11月からの口頭試験における最大の防衛策になるからです。試験官が筆記の減点箇所を突いてきた際、「筆記試験の段階では〇〇の視点に考慮漏れ(減点)がありましたが、現在は〜と分析し、是正案を考えています」と実直に答えられれば、それは十分な挽回のチャンスとなります。
わからないことは、知らないと答える。実在しない記述で取り繕うとせず、自分の論文を客観視する。このお盆休み、コンピテンシーという厳格な物差しを使って、ご自身の再現答案を冷徹に解剖する時間にしていきましょう。
客観的な視点で、減点リスクを総点検します
「自分の論文のどこが減点対象になるのか、一人では判断しきれない」という方は、ぜひスタディングの添削機能(※)を頼ってください。プロの目であなたの再現答案の弱点をあぶり出し、11月に向けた完璧なリカバリー戦略を一緒に組み立てていきましょう。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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