2026/07/09
7月20日の筆記試験まで、残りわずか11日となりました。ここまで仕事と両立しながら、必死に知識を蓄え、論理の骨組みを鍛え上げてきた皆さまの努力は、本当に素晴らしいものです。心から敬意を表します。
この試験直前の11日間、多くの受験生が「もっと知識を詰め込まなければ」「新しいキーワードを覚えなければ」と焦りがちです。しかし、どれほど頭の中に素晴らしい論文の設計図があっても、それを制限時間内に解答用紙へと「出力」できなければ点数にはなりません。
現在、多くのエンジニアが日々の業務をPCやスマートフォンで行っています。そのため、本番で「手が追いつかない」「文字が乱れて読めない」「時間切れで最後まで書き切れなかった」というトラブルが毎年多発します。
今回は、残り11日で合格を確実なものにするために不可欠な、「手書きの筋肉」の調整と、本番を想定した時間管理の最終シミュレーションについて解説します。
必須科目Ⅰや選択科目Ⅲでは、600字詰め原稿用紙3枚(1,800文字)を記述します。試験時間内にこれだけの文字数を、採点者が読める丁寧さで手書きすることは、私たちが想像している以上にハードな肉体労働です。
直前期に陥りがちな失敗は、PCの画面上で論文の構成を眺めるだけで「勉強したつもり」になってしまうことです。画面上で見る論理の筋道と、実際に自分の手を動かして原稿用紙のマス目を埋めていく感覚の間には、大きなギャップがあります。
漢字のど忘れに焦る、途中で手が攣りそうになる、字が小さくなったり歪んだりして読みにくくなる。こうした「手書き特有のリスク」を本番で排除するために、今すぐ「手書きの筋肉」に最後の刺激を入れておく必要があります。
新しい問題を解いて、また白紙を前に悩む必要はありません。この時期に最も効果的なトレーニングは、過去に自分が作成した「A評価の再現論文」や、信頼できる「模範解答」を、本番と同じ原稿用紙にそのまま書き写す「写経」です。
写経を行うことで、脳と身体に以下の効果が刻み込まれます。
体感時間の習得: 3枚(1,800文字)を書き切るのに、自分の手なら具体的に何分かかるのかがリアルに分かります。
文字の品質維持: 2枚目の後半、3枚目に入ったときの「手の疲労度」を事前に経験しておくことで、最後まで乱れない、採点者に配慮した読みやすい文字のペースを掴めます。
論理のリズムの吸収: 一文一義(50文字以内)でカチッと切られた短い文章の心地よさを、ペン先を通じて身体で覚えることができます。
1日1枚でも構いません。実際に自分の手でマス目を埋める感触を、毎日のルーティンに組み込んでください。
試験本番のタイムマネジメントを、以下のステップで最終確認しておきましょう。残り11日の今、この時間感覚を頭に叩き込んでください。
【最初の20分:設計(骨子作成)】
周囲の筆記音に惑わされず、設問の意図(イシュー)を正確に捉え、多面的な観点から課題を絞り込みます。ここで「何を書かないか」を決め、各パラグラフの文字数配分と一文の結論をメモします。
【次の80分:施工(手書き執筆)】
設計図に沿って、ひたすら手書きで肉付けをしていきます。1枚あたり約25分〜27分のペースが目安です。
【最後の10分:検査(見直し)】
誤字脱字の修正、主語と述語の係り受けのチェック、一文が長くなりすぎていないかの確認を行います。
もし、写経の段階で「3枚書くのに80分以上かかってしまう」という場合は、本番での骨子作成の時間を15分に縮めるか、文章表現をさらに削ぎ落として、より簡潔な短文を基本にする方向へチューニングしてください。
技術士試験の論文は、あなたの専門的学識や問題解決能力を試験委員に伝えるための「手紙」のようなものです。
どんなに立派な技術者であっても、乱雑で読めない文字や、時間切れで途切れた論文からは、あなたの本当の実力は伝わりません。
わからないことに悩む時間は終わりです。ここからの11日間は、これまで培ってきた知識と論理を、最も美しい形で原稿用紙に出力するための「段取り」に集中してください。
毎日、少しずつで構いません。原稿用紙に向かい、ペンを握るその実直な手の動きが、7月20日、あなたを合格へと導く最後の自信になります。
「手書きの答案をスマホで撮ったので、文字の読みやすさや全体のバランスを見てほしい」「最後の時間配分で迷いがある」という方は、ぜひスタディングの講座やフィードバックを活用してください。あなたの努力が最高の形で結実するよう、私たちは最後まで伴走します。
さあ、本番の原稿用紙を広げましょう。合格へのラストピースを、その手でしっかりと掴み取るのです。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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