2026/06/25
7月20日の筆記試験まで、残り25日となりました。いよいよ本番が目の前に迫り、焦りや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この直前期、過去問演習や模擬試験で「600字詰め原稿用紙3枚(1,800文字)」という圧倒的なボリュームを前にして、どこから書き始めてよいか分からず、白紙のままでフリーズしてしまう。あるいは、とにかくマス目を埋めようといきなり書き始め、途中で論理が破綻して引き返せなくなる。こうした悩みを抱える受験生は非常に多いです。
結論から申し上げます。いきなり本文を書き始めてはいけません。
制限時間内に試験委員を納得させる論理的な論文を3枚書き切るための鍵は、執筆前の「骨子(アウトライン)作成」を徹底することにあります。今回は、白紙の恐怖を克服し、ブレない論文を最速で組み立てるための「パラグラフ構成術」をステップバイステップで解説します。
制限時間が厳しい技術士試験において、焦る気持ちは痛いほど分かります。しかし、設計図(骨子)を組み立てずに論文という構造物を建て始めるのは、エンジニアとして最も避けるべき「手戻り」を発生させる原因になります。
いきなり書き始めると、以下のような致命的な失敗を招きます。
論理の迷走: 文頭と文末で主張が矛盾したり、設問の意図(題意)から外れていったりする。
文字数のアンバランス: 前半の「現状分析」を詳しく書きすぎて、最も加点されるべき後半の「新たなリスクと対策」を書くスペース(マス目)が足りなくなる。
「一文一義」の崩壊: 行き当たりばったりで文を繋ぐため、一文が100文字を超える長文になり、採点者の認知負荷を爆発させてしまう。
これらはすべて、執筆前に「どこに、何を、どれだけ書くか」という段取りが決まっていないために起こります。
必須科目Ⅰや選択科目Ⅲの制限時間は3枚の論文に対して限られています。残り25日の今、身につけるべき時間配分の黄金比は以下の通りです。
思考・骨子作成(設計):20分〜25分
本文執筆(施工):75分〜85分
見直し・修正(検査):10分
最初の20分間、周囲からガリガリとペンを走らせる音が聞こえても、一切焦る必要はありません。その人たちの多くは途中で論理が破綻し、修正液を使うか、破綻したままの論文を提出することになります。あなたは静かに、合格のための完璧な設計図を引きましょう。
原稿用紙3枚(18マス×100行=1,800文字)を、迷わず、美しく埋めるための具体的なステップです。各設問を一つの「パラグラフ(意味のある文章の塊)」として捉え、文字数の配分をあらかじめ固定(テンプレート化)しておきます。
ステップ1:設問に直結した「見出し」を立てる
問題用紙が配られたら、まず設問(1)〜(4)に対応する大見出しを、解答用紙にそのまま書き写すイメージで骨子に並べます。見出しを設問の文言に合わせることで、試験委員に「私はあなたの問いに正面から答えています」というコミュニケーションの誠実さを示せます。
ステップ2:パラグラフごとの「目標文字数」を割り振る
3枚(1,800文字)の一般的な配分目安は以下の通りです。
(1)多面的な観点からの課題抽出:約500文字(原稿用紙 1枚弱)
(2)最重要課題と解決策:約700文字(原稿用紙 1枚強)
(3)新たなリスクと対策(評価):約400文字(原稿用紙 1/2枚)
(4)技術者倫理・持続可能性:約200文字(原稿用紙 1/2枚)
この配分を骨子にメモしておくことで、「書きすぎ」や「書き足りない」による大減点を防ぐことができます。
ステップ3:各パラグラフの「核心(一文)」を1行ずつ決める
各見出しの下に、その章で言いたいいちばん重要な結論を「一文一義(50文字以内)」で記述します。
例えば、解決策であれば「最新のAI画像解析技術を導入し、不良品検出の自動化と精度向上を図る。」というように、中身がブラックボックスになっていない具体的な1行を決めます。
ステップ4:結論を支える「データと手順」を肉付けする
決定した一文(結論)に対して、「なぜその課題を選んだのか(客観的データや背景)」「具体的にどんな手順で実行するのか(5W1H)」を箇条書きで肉付けしていきます。
この4つのステップを終えたとき、あなたの手元には「あとはこれを原稿用紙に清書するだけ」という状態の、論理が一本通った骨子が出来上がっています。
骨子を作っている最中、もし想定外のテーマや「自分の知らないキーワード」が出てきても、パニックになる必要はありません。わからないことを知ったかぶりして嘘の技術論を書くのが、最も重い減点(不可)に繋がります。
その場合は、ステップを踏んで論理的に考えましょう。
「最新の知見や官公庁のオープンデータを活用して実態を調査・分析する」
「専門家や多様なステークホルダーとの合意形成の場を設け、包摂的な視点で合意を図る」
といった、コンピテンシー(問題解決・コミュニケーション)の手順を実直に記述すれば、それは立派な技術士としての対応プロセスであり、評価の対象になります。
白紙の原稿用紙を恐れるのは、今日で終わりにしましょう。白紙とは、あなたがこれから完璧な論理の構造物を建てるための、まっさらで美しい更地です。そこに骨格という名の杭をしっかりと打ち込めば、文章が迷走することは二度とありません。
試験まで残り25日。これからの論文練習では、時間を計って「最初の20分で骨子を完成させる」訓練を繰り返してください。
静かに、淡々と、段取りをこなすこと。その誠実な姿勢が、7月20日、あなたを合格へと導く最大の武器になります。最後の1日まで、一緒に歩みを進めていきましょう。
ラストスパートの骨子チェックもお任せください
「自分で作った骨子のバランスが正しいか見てほしい」「論理の主軸がズレていないか不安だ」という方は、ぜひスタディングの添削を活用してください。本番で迷わず書き切るための「型」を、残り25日で完全にマスターしていきましょう。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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