2026/04/30
いよいよ過去問演習に本腰を入れる時期がやってきました。
皆さんは過去問に取り組む際、単に「どんな技術テーマが出たか」だけを確認してはいませんか?
もしそうなら、非常にもったいないことをしています。技術士試験の問題文には、一見するとただの指示に見える文章の「行間」に、採点基準であるコンピテンシーがびっしりと埋め込まれているからです。
特に令和8年度からのコンピテンシー改訂を控えた今、出題者が問題文を通じて受験生に何を求めているのか、その「意図」を深読みする技術を身につけることが合格への最短ルートとなります。
技術士試験の問題文は、毎年似たような構成になっています。これは出題者が手を抜いているのではなく、コンピテンシーを評価するために最適化された「型」だからです。
例えば、多くの問題に見られる以下の指示を深読みしてみましょう。
「多面的な観点から課題を抽出せよ」
→ 行間の意味:あなたの「専門的学識」の幅広さと、物事を俯瞰して見る「問題解決」の資質を見せてください。
「解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策を述べよ」
→ 行間の意味:提案の有効性だけでなく、副作用まで見通せる「評価」の能力と、公衆の安全を最優先する「技術者倫理」を持っていますか?
過去問を解く際は、解答を書く前に「この設問はどのコンピテンシーを証明するための場なのか」を明確に意識してください。ここがズレると、どれだけ優れた技術論を書いても加点されません。
令和8年度から適用される新コンピテンシーでは、「データ・情報技術の活用」や「多角的な視点(多様なステークホルダーの意見等)」が明文化されます。
試験制度の変更は令和8年度からですが、実は近年の過去問を詳しく見ると、すでにこれらの要素を求める「行間」が色濃くなっています。
今、過去問演習をする段階で、以下の2点を解答に織り込む練習をしておきましょう。
データに基づく分析:
これまでの過去問で「要因を分析せよ」とあれば、これからは「IoTやセンサー、統計データ等の客観的根拠を用いて要因を特定する」というプロセスを1行加えるだけで、あなたの「問題解決」能力の評価はぐっと高まります。
関係者の合意形成:
解決策を述べる際、単に「技術的に可能か」だけでなく、「地域住民や行政、協力会社といったステークホルダーとの調整(リーダーシップ・コミュニケーション)」をどう図るかを意識します。
過去問を「古い問題」として片付けるのではなく、最新のコンピテンシーという「新しい眼鏡」をかけて見直すことで、今のあなたが書くべき答えが見えてきます。
過去問を解いていると、自分の専門外のキーワードや、不慣れなテーマに直面することがあります。ここで無理に知ったかぶりをして、インターネットで拾ってきた知識を継ぎ接ぎしたような論文を書いてはいけません。
技術士試験で求められるのは、百科事典のような知識量ではなく、「未知の課題に対して、エンジニアとしてどう論理的にアプローチするか」という思考のプロセスです。
もし特定の技術用語がわからなくても、「その分野の専門家や最新の知見(情報技術)を活用して調査・分析を行う」という手順を論理的に示せば、それは立派な「問題解決」の解答になります。わからないことを無理に書こうとして論理を破綻させるより、ステップバイステップで自分の専門知見とコンピテンシーを繋ぎ合わせる勇気を持ってください。
過去問演習の本当の目的は、模範解答を覚えることではありません。
「なぜ、この問いがあるのか?」「この1行で、私のどんな能力を試そうとしているのか?」と、出題者と対話することにあります。
残り3ヶ月。1枚の過去問から、その行間に隠された「合格へのメッセージ」をどれだけ汲み取れるか。
その深読みの積み重ねが、7月20日、どんな初見の問題が出ても揺るがない「合格論文の骨格」を作り上げます。
さあ、お手元の過去問をもう一度開いてみてください。以前とは違う「問い」が、そこに見えてくるはずです。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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