2026/4/2
技術士試験の準備というと、多くの人は筆記試験の勉強を思い浮かべます。しかし、本当のスタートはそこではありません。
それは「受験申込書を書くこと」です。
技術士第二次試験では、受験申込書の中で「業務経歴」と「業務の詳細」を記述しなければなりません。単なる履歴書ではありません。これまでのエンジニア人生を整理し、自分がどのような技術者なのかを明確にする作業です。
言い換えるなら、受験申込書を書くということは「技術士になる覚悟を決めること」です。
技術士法には、技術士の目的と役割が明確に定められています。
第一条では、技術士制度の目的が次のように示されています。
第一条
「この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。」
つまり技術士とは、単に技術ができる人ではありません。
科学技術の発展と社会の発展に責任を持つ専門職です。
さらに第二条では、技術士の業務が定義されています。
第二条
技術士とは、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について、計画、研究、設計、分析、試験、評価、またはそれらに関する指導を行う者です。
ここで重要なのは、「高等の専門的応用能力」という言葉です。
単に知識があるだけでは足りません。
実務の中で技術を応用し、課題を解決し、社会に価値を生み出す能力が求められます。
受験申込書では、まず「業務経歴」を書きます。
ここでは、自分がこれまでどのような業務を経験してきたのかを整理します。どんなプロジェクトに関わり、どのような技術を使い、どのような役割を担ってきたのか。
そしてさらに重要なのが「業務の詳細」です。
ここでは、自分が担当した業務の中で、どのような課題に向き合い、どのように解決し、どのような成果を出したのかを記述します。
つまり受験申込書とは、単なる経歴ではなく、
「エンジニアとしてどんな経験を積んできたのか」
「技術士としてふさわしい能力をどのように発揮してきたのか」を示す文書なのです。
受験申込書を書くと、多くの受験者が気づくことがあります。
それは、自分がどんなエンジニアなのかを説明するのが意外に難しいということです。
日々の業務では、プロジェクトを進めることに集中しています。しかし改めて振り返ると、
どんな技術課題に取り組んできたのか
どんな判断をしてきたのか
どんな価値を生み出してきたのか
を言葉にする機会はほとんどありません。
受験申込書を書く作業は、自分の技術者人生を整理する作業です。
それは、自分がどんなエンジニアなのかを問い直す時間でもあります。
受験申込書を書き終えたとき、多くの人が感じることがあります。
それは、「技術士になりたい」という思いが、より明確になることです。
技術士試験は、単なる資格試験ではありません。
専門職として社会に責任を持つ技術者になるための試験です。
受験申込書を書くということは、
「私は技術士として社会に貢献する」と宣言することでもあります。
だからこそ、この申込書は単なる手続きではありません。
それは技術者としての覚悟を形にする第一歩なのです。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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