2026/1/29
土木学会のWebサイトには「論文要項」が公開されています。
技術士試験の役に立つので必ず読んでください。
以下はURLです。
https://committees.jsce.or.jp/jjsce/node/71
投稿要項6ページに書かれている文章番号1)〜5)は、委員会報告の登載基準を定めた部分です。ここは委員会報告だけの話に見えて、実は論文全般に共通する学会の思想が最も端的に表れています。
まず1)では、委員会の研究成果報告は「学術・技術研究論文としての体裁と内容」を備えていなければならないと明言されています。つまり、活動報告や経過説明は論文ではないということです。どれだけ社会的に重要な委員会活動であっても、学術的整理と技術的考察がなければ論文集には載りません。
2)は示方書(案)や基準(案)に関する扱いです。これらは一見すると規格文書ですが、論文集に載せる以上、単なる条文案の提示では不十分です。背景、考え方、技術的根拠を論文として説明できて初めて対象になります。
3)は文献調査に関する規定です。文献を並べただけの一覧表は認められません。文献調査から何が分かり、どんな傾向や問題点が見えたのか。整理ではなく、考察が求められていることがはっきり書かれています。
4)はシンポジウムや研究発表会の論文の扱いです。発表原稿をそのまま載せることはできません。討議を踏まえ、内容を練り直し、論文として再構成する必要があります。これは「発表」と「論文」が別物であることを示しています。
5)は研究テーマ調査報告についてです。テーマの羅列は不可。全体を俯瞰し、研究動向や将来展望まで示して初めて論文として成立します。ここでも求められているのは、単なる事実の集積ではなく、知の構造化です。
この6ページの文章番号に共通しているのは、「説明したか」ではなく「考えたか」が問われている点です。土木学会論文集は、成果を置く場所ではなく、知見を社会に渡すための装置です。その覚悟がある原稿だけが、査読を通過します。
要項は厳しく見えますが、実は極めてフェアです。求められていることは一貫しており、読み解ければ迷いは消えます。論文を書く前に、まずこの要項を正面から読むこと。それが最短ルートです。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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