2026/2/5
『論文・レポートの基本』2012年03月初版
石黒圭著・日本実業出版
石黒圭氏の著作「論文・レポートの基本」から第10章から第11章にかけての内容を中心に紹介します。
特に「正確な表現」の重要性について述べています。
この章では、論文やレポートの「正確な表現」を達成するための具体的な方法を説明しています。特に、以下の3つの観点が強調されています。
漢字と仮名の書き分け
漢字は意味を限定し、仮名は柔軟性を持つ特性があります。例えば、訓読みに漢字を使わず仮名を用いるといった基準が提案されています。こうした基準を明確化することで、表記の揺れや不統一を回避できます。
読点の打ち方
読点の配置によって文章の意味が大きく変わるため、論文では特に重要です。文全体の構造を意識しながら適切な場所に読点を打つことで、正確に意味を伝えられます。例えば、「腹ばいになって寝ていた人」と「腹ばいになって、寝ていた人」の違いを説明しています。
記号の使い方
記号(句点、読点、かぎ括弧、スラッシュなど)は、文章の明確さや統一感を保つために重要です。特に、かぎ括弧の過剰使用は論文では避けるべきとされ、必要最小限に留めるべきとされています。また、補足情報を括弧ではなく脚注に記載することが推奨されています。
この章の内容は、日本語の正確な表現を論文やレポートの文脈で解説しており、特に以下の点で実践的です。
表記の一貫性が持つ効果
漢字と仮名の書き分けについての議論は、論文における読みやすさと情報の正確な伝達のバランスを考慮しています。特に、実質語(名詞、動詞、形容詞)を漢字で表記し、機能語(助詞、助動詞)を仮名にするという基準は、速読性を高めると同時に、重要な情報を視覚的に強調します。
読点の役割とその重要性
読点を使うことで、修飾語と被修飾語の関係を明確にし、誤解を避ける効果があります。たとえば、読点の配置によって、文の中でどの部分が主要な意味を持つのかを明確にできます。この視点は、読者にとっての論文の理解しやすさを向上させるでしょう。
記号の適切な使用と論文の品位
記号は読みやすさを保つための道具ですが、乱用は文章の論理性や説得力を損ねる可能性があります。本書では、「かぎ括弧」を例に、必要以上に使わないことを推奨し、正確で簡潔な表現を心がけるべきと述べています。
正確な表現とは何か
石黒圭氏の著作では、「正確な表現」を論文やレポートにおける表記の基本とし、これを達成するための具体的な技術が提示されています。表現の正確さは、単なる文章の形式的な美しさだけではなく、情報を正しく、かつ効率的に伝えるために不可欠な要素です。本書では、以下の主要なテーマを中心に解説しています。
漢字と仮名をどのように使い分けるかは、文章の読みやすさや正確さに直接関わります。本書では次のような基準が提案されています:
音読みと訓読みの区別
音読みは漢字、訓読みは仮名という基準で書き分けると、表記の揺れが少なくなります。例えば、「おこなう」を「行う」と漢字で書く場合と「おこなう」と仮名で書く場合では、読者の解釈が異なる可能性があります。
実質語と機能語の分類
実質語(名詞、動詞、形容詞など)は漢字、機能語(助詞、助動詞など)は仮名で表記する方法は、速読性を向上させるために有効です。これにより、読者は重要な情報を視覚的にすぐ捉えられるため、効率的に文章を理解できます。
常用漢字表の活用
常用漢字表を基準にすることで、表記の統一が容易になります。論文の中で使う漢字は、義務教育で習得するものに限定することで、多くの読者にとって理解しやすい文章が実現します。
実際の応用例
例えば、「雨が降りだす」と「お金を引き出す」の場合、「だす」をどのように表記するかは文脈に依存します。前者では「始める」の意味を強調するため仮名表記が適切で、後者では「物理的に外に出す」の意味を含むため漢字の「出す」が適切です。このように文脈に応じた選択が求められます。
読点は、文章の意味を明確にするための重要なツールです。適切な読点の配置により、修飾語と被修飾語の関係が明確化され、誤解を防ぐことができます。
意味の切れ目を明確にする
例文として「子どもは腹ばいになって寝ていた人の顔に落書きをした。」という文があります。この文は、読点の有無で以下のように解釈が変わります:
「子どもは、腹ばいになって寝ていた人の顔に落書きをした。」→ 寝ていた人が腹ばいになっている。
「子どもは腹ばいになって、寝ていた人の顔に落書きをした。」→ 子どもが腹ばいになっている。
文全体の骨格と枝葉のバランス
文全体の骨格部分(主語と述語)に読点を打ち、それに付随する補足情報にもバランスよく読点を配することで、文章は格段に読みやすくなります。例えば、長文の場合、主要な論旨が見失われることを防ぐため、骨格部分に重きを置いて読点を配置することが有効です。
読点を使わない場合のリスク
読点を打たないことで、読者が文の意図を誤解する可能性があります。特に、論文のような正式な文書では、読点を適切に使用することが不可欠です。
記号は文章の意味を補足する重要な役割を果たしますが、その使い方には一定のルールが求められます。
カギ括弧の適切な使用
カギ括弧は引用を明示するために使用されますが、強調のためだけに使用することは避けるべきとされています。例えば、「平均寿命」や「寿命」といった用語の中にカギ括弧を多用すると、文章が読みにくくなり、論文の信頼性が低下します。
括弧の使用を最小限に
補足情報を括弧で示すのではなく、脚注を活用することで、文章全体の一貫性と読みやすさが向上します。たとえば、「1900年(明治33年)」のような短い補足説明を除き、括弧は極力避けるべきです。
その他の記号の役割
スラッシュ: 選択肢を示すときに使用(例:「彼/彼女」)。
中点: 並列要素を明示する場合に使用(例:「食事・運動」)。
ダッシュ: 副題や年代表記などに使用(例:「1945年-2024年」)。
正確な表現は、論文やレポートにおいて以下のような効果をもたらします:
信頼性の向上
表記の一貫性や記号の適切な使用は、文章全体の信頼性を高めます。特に学術論文では、細部にわたる配慮が読者の評価を左右します。
読みやすさの向上
速読性を重視した表記の工夫や読点の適切な配置は、読者が内容を迅速かつ正確に理解する助けとなります。
誤解の防止
読点や記号を正しく用いることで、読者の誤解を防ぎ、意図した意味を的確に伝えられます。
石黒氏の指南は、日本語の表記法が持つ多様性と奥深さを論文作成の文脈でわかりやすく解説しており、実践的な知識を提供しています。本書の内容を活用すれば、文章の精度が向上し、学術的な価値をさらに高めることができるでしょう。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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