「技術士CPDガイドブック（要約版）」のポイント

2025/12/11

「技術士CPDガイドブック（要約版）」のポイントをまとめます。

これは2021年の制度化以降、技術士に継続的な学習（CPD: Continuing Professional Development）を義務づける実践ガイドです。2023年の改訂内容も反映されています。

1．CPD制度の背景と目的

CPDとは「資格取得後も技術士としての資質・能力を維持・向上させるための継続研鑽活動」です。
技術士法施行規則の改正（2021年9月）により、CPD活動実績が技術士登録簿に正式に記載できる制度が導入されました。
目的は次の2点に集約されます。

• 専門的学識・問題解決・マネジメント・評価・コミュニケーション・リーダーシップ・技術者倫理などの「資質能力（コンピテンシー）」の維持向上。
• 社会から信頼される技術士としての能力証明（資格の更新制度に代わる継続的評価）。

2．CPD時間の目標と認定基準

活動量は「CPD時間」で管理され、次の基準が設定されています。

• 基準CPD時間：20時間／年
• 推奨CPD時間：50時間／年（うち技術者倫理1時間以上）
• 技術士（CPD認定）：5年間で合計250時間以上（うち倫理5時間以上）

この目標を達成した技術士は、「基準達成者」「推奨達成者」「CPD認定者」として日本技術士会のホームページに公表されます。

3．CPD活動の区分と項目

CPDは、幅広い活動を対象にしています。以下のように分類されます。

①資質区分（何を高めるか）
A. 専門的学識（技術知識、法令・制度、社会条件など）
B. 一般共通資質（問題解決、マネジメント、評価、倫理、リーダーシップなど）

②形態区分（どう学ぶか）
Ⅰ. 参加型：講演・研修、組織内研修、学協会活動
Ⅱ. 発信型：論文・報告文、講師・技術指導、図書執筆、技術協力
Ⅲ. 実務型：資格取得、業務成果（表彰・特許など）
Ⅳ. 自己学習型：自己研究、オンデマンド講座、語学学習、展示会参加など

技術士は、この4形態をバランス良く行い、単なる講習参加だけでなく、発信・教育・社会貢献まで含めた学びの循環を実践することが求められます。

4．Pe-CPDシステムによる登録管理

日本技術士会の「Pe-CPD」ウェブシステムを利用して、各自が活動を登録・管理します。
正会員は会員IDで無料利用でき、非会員は年2,000円で登録可能です。
登録内容は年度ごとに集計され、「技術士登録簿」「CPD活動実績名簿」に反映されます。
エビデンス（受講証、論文名、プログラムなど）の保存が必須です。

5．算定基準（CPD時間の換算）

活動内容ごとにCPD時間が定められています。主なものは以下の通りです。

6．CPD活動の証明と登録簿反映

登録簿の「資質向上の取組状況」欄に、過去5年間の実績（総時間・倫理時間）を記載可能。
提出は日本技術士会ウェブ上で行い、申請に費用はかかりません。
到達度に応じて次のように表示されます。

• ○：基準達成
• ◎：推奨達成
• ◎＋認定印：技術士（CPD認定）

7．費用・証明書発行

8．ポイントのまとめ

• 技術士CPDは「資格維持」ではなく「社会的信頼の維持」を目的とする。
• 活動は自己申告制だが、エビデンスの保存と登録が必須。
• 倫理・リーダーシップなどの一般共通資質を含めることが求められる。
• 「参加」だけでなく、「発信」「育成」「社会貢献」も評価対象。
• 5年間で250時間（うち倫理5時間）を達成すればCPD認定技術士として公式認定。

このCPD制度は、技術士が「学び続ける専門職」であることを社会的に保証する仕組みです。単なる研修記録ではなく、「生涯学習の履歴」として活用することが重要です。

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