2025/06/26
2022年以降の「第2フェーズ」では、単にインフラ施設ごとのメンテナンスにとどまらず、地域全体の将来像を踏まえ、インフラを「群」として捉え戦略的にマネジメントする新たな枠組みの導入が掲げられた。特に、地方自治体の財政的・体制的な制約や国民のインフラへの関心低下を背景として、次のような観点が重要視されている。
地域のインフラ群を面的・分野横断的に捉えること
メンテナンス市場の創出・自立化
業務のDX(デジタル化)による標準化・効率化
多様な主体による「総力戦」的な取組体制の構築
(1) 計画策定プロセス
複数の市町村を含む「広域圏域」を対象とし、道路、下水道、河川、公営住宅など多分野の施設を一体として将来に必要な機能を検討。
「維持すべき機能」「新たに加えるべき機能」「役割を終えた機能」を分類し、維持管理・修繕・更新・統廃合・新設等を判断。
都道府県、国、市町村による共同会議体の設置が想定される。
(2) 実施プロセス
各施設の重要度・必要技術力に応じて事業者を使い分け、包括的民間委託(JV等)による効率的運営を図る。
軽微な補修は地元中小業者、技術力の高い補修は大手JVが担う「適材適所」の発注体制を構築。
(1) 地域の将来像を踏まえた戦略マネジメントの展開
インフラ群単位でのマネジメントによる、既存機能の見直し・機能追加。
市町村長がリーダーシップを取り、首長会議などで横展開を推進。
(2) 地方公共団体の体制整備
民間活力や新技術の活用を念頭に置いた体制整備。
必要な技術力の定義と人材育成支援。
(3) メンテナンスの生産性向上
従来の点的な発注から面的な「包括的民間委託」への転換。
包括的な発注方式により、創意工夫の余地や業務の効率化を期待。
AI・センサー・ドローン等の活用:点検や診断業務の高度化。
デジタルデータの標準化と利活用:設計・施工・補修の履歴管理によるデジタル国土管理の推進。
セキュリティ確保:データ活用時のサイバーリスク対策。
市民参加の促進:地域住民・NPOがメンテナンス活動に参加。
理解促進のための啓発活動:出前講座や国民会議などを通じ、関心を高める。
活動の継続性の確保:住民参加による地域活動の自走化。
本戦略は、インフラ維持管理の視点を地域・分野横断に広げた新たなマネジメント手法。国土交通省に限らず、他省庁所管インフラにも応用可能な共通課題を扱っており、全国的な波及が期待されている。
地域インフラ群戦略マネジメントの実装は、あらゆる関係主体の連携・協働により、着実に第2フェーズを進展させることが求められる。
![]() | 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。
特典1 ![]() 合格ノウハウを公開! 受験生必見の合格セミナー さらに「必勝合格法」冊子付! | 特典2 ![]() 論文対策のポイントを伝授! まずはここから!初めて論文対策をする方に手法を動画で紹介! | 特典3 ![]() 添削課題のイメージがわかる! 添削課題(サンプル版)を無料で確認できる!有料版では16部門に対応! |