国土交通省の『地域インフラ群戦略マネジメントの推進』資料について、説明します。
元資料は以下
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/00...
前半と後半に分けて2週間でご説明します。
日本全国で社会資本の老朽化が進む中、人口減少や財政制約も相まって、個々のインフラ単体の維持管理すら困難な自治体が増えています。このような状況の中で、従来の「単体インフラ管理」から脱却し、地域が抱える複数のインフラ(道路、上下水道、公共施設、港湾、橋梁、堤防など)を一体として戦略的にマネジメントする「地域インフラ群戦略マネジメント」の導入が求められています。
地域インフラ群とは、ある特定の地域に存在する複数種別のインフラ資産を、機能・空間・利用関係などの観点から関連付けて捉えた集合体のことを指します。これには以下のような特徴があります:
単一インフラの延命よりも、全体最適の視点で機能の維持・再編を図る
社会的・経済的活動と空間配置を踏まえて、必要性を再評価
複数の主体(住民、企業、自治体)が関与する管理体制が不可欠
このアプローチの目的は、以下の3つに整理されます。
持続可能なインフラサービスの提供
コスト・資源・労働力が限られる中でも、地域住民の生活や産業活動に必要なサービスを
機能の見直しと統廃合
必要なサービスの代替手段や複合化を検討し、機能別最適配置を実現
投資の重点化と再配置
限られた投資資源を地域の将来像や重点地域に集中的に配分
地域インフラ群戦略マネジメントは、以下のサイクルで進めることが推奨されています。
現状の見える化地域内のインフラ情報(立地、機能、状態、維持費など)を一元的に把握・共有
GIS等のICTツールを活用した可視化と分析
将来像の共有
人口動態や産業構造の変化を踏まえた「まちづくり」の将来ビジョンを設定
そのビジョンに沿ったインフラ機能の再評価
最適な戦略の立案
インフラの統廃合・複合化・代替手段の導入などを盛り込んだ再配置戦略
投資対象の優先順位づけと財源確保策の検討
事業化・実行
PPP/PFI、官民連携、公民連携による実施
地域事業者・住民との協働による具体的な取り組みの展開
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地域インフラ群の再編には、従来の技術的視点のみならず、総合的なマネジメント力が不可欠です。
統合的な視点:インフラ単体ではなく、地域機能全体を見渡す
多主体の巻き込み:自治体、企業、住民、専門家が一体となって協議
将来視点の導入:人口減少・高齢化を見据えた縮退戦略の必要性
資金調達の工夫:官民連携、資産活用、公的不動産マネジメントなどの財源確保手段
資料では、先行事例として「福井県鯖江市」などの実践例が紹介されています。
公共施設と上下水道を一体管理し、更新投資の総額を抑制
高齢化地区における小規模集落の統合と集中的な機能整備
地元企業との協働により、維持管理の地元委託と地域経済の活性化を両立
これらの事例では、住民参加型ワークショップ、オープンデータの活用、自治体内の縦割り打破が共通する成功要因として挙げられています。
庁内連携と体制整備:各インフラ所管課の横断的連携が不可欠。特に「都市計画」「財政」「公共施設管理」などの分野との連携強化が鍵
法制度や縦割りの壁:個別法制度に基づいた管理が主流であるため、横断的マネジメントを阻害
データ整備と分析能力:現状ではデータ整備にバラつきがある。汎用的なGIS・台帳整備、AI活用が望まれる
住民理解と合意形成:統廃合や代替施策には住民の反発もあり、丁寧な説明と共感形成が重要
この資料は、技術士試験などの「インフラマネジメント」「持続可能な地域づくり」「官民連携」の分野において極めて有用です。以下のように応用できます:
「観点と課題」整理のモデルとして:
例)観点=老朽インフラの維持管理体制の確立/課題=複数インフラを統合的に管理できる体制が整っていない
「解決策の構築」例として:
GISと住民参加型ワークショップを用いた情報共有と合意形成
「将来展望とリスクマネジメント」記述の例:
人口減少・財政制約を前提とした縮退マネジメントと官民連携型維持体制の構築
![]() | 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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