2025/02/20
『失敗の本質』で有名な野中郁次郎一橋大学名誉教授が亡くなりました。
2025年1月25日、肺炎のため東京都内の自宅で死去。89歳没です。
謹んで哀悼の意を表します。
野中先生は2017年、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールから同大学最高賞の生涯功績賞を史上5人目として授与されています。
もちろん、個人的な知り合いではないのですが、本を読んで講演を数回視聴しています。
経営工学や総合技術監理部門の参考になると思いますので、『失敗の本質』について、簡単に解説します。
『失敗の本質』
本書では、過去の失敗を分析し、それが現代の企業経営にどう当てはまるかを考察しています。
特に、自社の将来に危機感を抱く中堅管理職に向けた内容となっており、組織が有事に適応できるかどうかが問われていると思います。
・目の前の課題解決に終始すると、長期的な戦略が欠ける。
・明確な最終目標を定め、それに向かって計画的に行動することが重要。
・一部の企業では、短期的な業務に追われるあまり、組織の方向性が定まらないケースが多い。
・過去の成功体験に依存し、固執することは適切ではない。
・変化する環境に適応できず、無駄な投資を続けることは避ける。
・これは「イノベーションのジレンマ」とも通じる。成功したビジネスモデルに固執し、変化に対応できなければ衰退する。
・企業は新規事業やM&Aなどを活用し、破壊的イノベーションを内発的に起こす必要がある。
・上層部主導の硬直的な意思決定を行うと、現場の有能な人材を活かせない。
・上層部と現場のローテーションを行い、情報のフィードバックすることが重要。
・現代の企業もトップダウン型が多く、現場の意見を取り入れないため、環境変化に対応できないケースがある。
・これを回避するには、意思決定の柔軟性を高め、現場に裁量を与える仕組みを構築することが重要。
・リスクを過小評価すると、問題を直視できない。
・リスクを積極的に洗い出し、対策を講ずることが重要。
・一部の企業では、「空気を読む」文化が、不必要な忖度や停滞を引き起こし、変革の妨げになっている。
・これを防ぐためには、外部の意見を積極的に取り入れたり、企業のミッションや理念に立ち返ることが有効。
・目的と目標の明確化:組織として何を達成するのかを明確にする。
・戦略的な結果の積み重ね:目標に向かうためのステップを設定する。
・現場の情報収集と活用:意思決定の根拠となるデータを重視する。
・必要な権限の委譲:現場の判断力を活かせる組織作りをする。
・リーダーの柔軟な思考:環境変化に対応できるリーダーシップが求められる。
・失敗の分析と改善:うまくいかなかった原因を特定し、次につなげる。
・リスクを受け入れ、解決策を模索する:組織の停滞を防ぐために、現実に正面から向き合う。
失敗から学べるのは、組織の在り方を根本から見直し、適応力を高めることの重要性です。
「変革の必要性」を認識するだけではなく、「ではどうすればよいのか」という具体的な行動に結びつけることができるかが鍵になるでしょう。
特に、有事における組織の脆弱性を克服するため、現場の意見を活かし、変革を促す管理職が求められてると思います。
![]() | 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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