2024/11/14
有名な本なので、ご存知の方も多いと思います。
前回は、第4章までは紹介していますので、今回は第6章の1節から12節を要約します。
6章は建設マネジメントがテーマです。
また、こん回は建設部門の方にも参考になるカ所が多いです。
一般部門の方もぜひ、読んで下さい。
『技術士ハンドブック』の購入は以下。
楽天では購入出来るようです。
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東日本大震災は、日本にとってかつてない規模の自然災害であり、応急復旧活動には数々の課題が浮き彫りになりました。災害後のインフラ復旧は極めて困難であり、特に津波被害を受けた地域では、道路、鉄道、港湾といった交通インフラの崩壊により、支援物資の輸送や被災者の避難活動が大幅に遅れました。
災害発生時に迅速な復旧活動を実現するためには、まず初めに通信手段が確保される必要があります。しかし、地震と津波の影響により通信インフラも大規模に損壊し、行政機関や災害対策本部間の連絡が途絶えたことが、対応遅延の一因となりました。特に災害発生直後は、情報伝達がスムーズに行えないことで、復旧作業に取り掛かる初動対応に遅れが生じるという課題が顕著でした。
さらに、BCP(事業継続計画)が未整備だったため、多くの企業や地方自治体は緊急時にどのように行動すべきかの指針を持たず、復旧作業が混乱する場面も見られました。BCPは、企業や行政が災害時にも業務を継続するための計画であり、適切に策定・実行されていれば、リーダーシップの発揮や緊急時の行動指針が明確になり、復旧作業の効率化が図れたはずです。
また、資材供給の遅れや人員の不足も問題でした。被災地への道路が寸断されていたため、復旧作業に必要な重機や物資が現地に届かない事態が発生しました。このような状況では、迅速な対応が求められますが、交通インフラの崩壊によって復旧活動が後手に回ることが多かったのです。加えて、災害に対応するための訓練やシミュレーションが十分に行われていなかったため、現場での混乱が増幅し、作業効率が低下しました。
被災地での復旧作業には、まず仮設道路や仮設橋梁の設置が必要不可欠でした。これにより、物資の供給や救援活動が迅速に進められるようになり、初動対応が改善されました。しかし、復旧作業が進む中で、さらに必要なのは災害対策拠点の強化です。現場での拠点設置が災害発生時にスムーズに行われれば、地域の復興活動を体系的に支える基盤が整い、今後の災害に備える体制が強化されます。
総じて、災害発生後の応急復旧活動には多くの課題が存在し、これらの課題に対する対策は、BCPの策定と訓練の強化、通信インフラの堅牢化、応急復旧における資材供給の効率化などが求められます。
防災・減災の技術は、東日本大震災の教訓を踏まえて進展してきました。建設業界において、災害に対する備えが今後ますます重要視されていく中、技術者は自然災害に対して持続可能な解決策を提供する責任を負っています。
防潮堤の建設や、津波からの避難施設の設置といったハード面の対策はもちろんのこと、シミュレーション技術の活用が進められています。これにより、地震や津波の発生時にどのような影響が出るかを事前に予測し、効果的な対策を講じることが可能になります。しかしながら、シミュレーションに依存しすぎない多重防御の考え方も重要です。すべての災害を予測することは不可能であるため、複数の防御策を講じてリスクを最小限に抑えることが求められます。
さらに、耐震設計の技術革新も進んでいます。耐震補強工事や、新技術を取り入れた建築材料の開発により、災害に強い建物や構造物の普及が期待されています。特に、建築物やインフラが持つ「復元力」(レジリエンス)が注目されており、災害後にいかにして速やかに元の状態に戻るかが、建設技術の重要な目標となっています。
地域社会の防災力向上に向けて、コミュニティベースの防災活動も不可欠です。建設業者や技術者は、地域住民と協力し、防災訓練の実施や、防災知識の普及活動を進めることが求められています。また、地域の特性に応じた防災対策を行うことが重要であり、被災地域の地理的、社会的条件を考慮した柔軟な対応が必要です。
行政と企業の連携も、防災・減災において大きな役割を果たします。災害発生時における迅速な対応を可能にするために、行政機関と企業の間での情報共有や、災害対応計画の整備が進められています。これにより、緊急時の行動計画が明確化され、復旧作業の効率が向上します。
また、建設業界においては、災害対応のための新技術や新材料の研究開発が進んでおり、今後もさらなる技術革新が期待されています。例えば、IoT(モノのインターネット)やビッグデータの活用により、リアルタイムでの災害情報収集や、被災状況の迅速な把握が可能となる技術が注目されています。これにより、災害発生時の初動対応や復旧作業の迅速化が進み、被害を最小限に抑えることが可能になります。
まとめると、災害に対する備えとしての防災・減災技術の開発は、ハード面の対策だけでなく、ソフト面の取り組みやコミュニティの防災力向上が重要な要素となります。建設業界は、技術革新を通じて災害対応の効率化を目指し、今後の社会的ニーズに応じた防災・減災対策を進める必要があります。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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