2024/10/10
試験に役立つ本の紹介『技術士ハンドブック (第2版)』・公益社団法人日本技術士会登録技術図書刊行会-2
有名な本なので、ご存知の方も多いと思います。
前回は、第2章までは紹介していますので、今回は第3章を要約します。
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第3章: エネルギー概論
第3章は、エネルギーに関する幅広いテーマを扱い、日本におけるエネルギーの現状と課題を多面的に解説しています。以下、節ごとに解説します。
3.1 エネルギー問題の多面性と技術士の役割
エネルギー問題は単なる技術的な課題ではなく、資源の安定供給、経済性、環境保全、安全性など多くの要因が関わっています。日本は化石燃料やウランなどの資源を輸入に頼っており、国内での再生可能エネルギーの利用と併せて、これらのエネルギー資源をどのように安定的に供給し、活用するかが重要です。
エネルギーシステムは、化石燃料、再生可能エネルギー、原子力などのさまざまなエネルギー源が組み合わされて構築されており、それぞれのフローや備蓄、廃棄物処理などが連携しています。技術士は、エネルギー問題を解決するために、専門的な知識や技術を駆使して、社会全体のエネルギーリテラシー向上に寄与することが求められます。
3.2 震災前後でのパラダイムシフトと経済的負担
2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー政策に大きな影響を与えました。震災前は原子力発電を中心に据えたエネルギー計画が策定されていましたが、事故後は再生可能エネルギーの導入と、電力の分散化が進められています。
しかし、再生可能エネルギーの導入はコストが高く、震災後の火力発電の依存度増加による経済的負担も増大しています。これにより、日本のエネルギー政策は、エネルギー自給率の向上と低炭素化の目標達成が困難になっており、エネルギー基本計画の見直しが行われています。
3.3 温室効果ガス削減と国際的な取り組み
地球温暖化対策として、国際的に温室効果ガスの削減が求められています。日本は「京都議定書」に基づき、温室効果ガス削減に取り組んできましたが、震災後の状況変化により、目標達成が困難になっています。
国際的には、温室効果ガスを削減するためにさまざまな技術が検討されていますが、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率化技術の導入が進んでおらず、さらなる技術開発と国際協力が必要とされています。
3.4 エネルギー資源の動向
石油、天然ガス、石炭、ウランなどのエネルギー資源について、世界の確認埋蔵量や生産量の状況を解説しています。石油は地域偏在性が強く、国際情勢に大きく影響される一方、天然ガスは地域偏在性が小さく、非在来型資源の生産が増加しています。石炭は埋蔵量が多く、可採年数が長いが、環境負荷が大きいという課題があります。ウラン資源は広く分布しており、再処理技術の発展が求められています。
3.5 エネルギー需給と各部門の消費動向
日本のエネルギー需給フローを解説し、民生部門、運輸部門、産業部門のエネルギー消費動向について説明しています。民生部門では家庭用エネルギー消費が増加傾向にあり、運輸部門では乗用車が主なエネルギー消費源となっています。産業部門ではエネルギー効率の向上が進んでおり、エネルギー消費の構造が変化しています。
3.6 火力発電とその課題
火力発電は、日本の電力供給の主力であり、石油、石炭、天然ガスなどを燃料として発電が行われています。各種の発電方式と環境対策、発電効率の向上が課題となっています。また、火力発電のCO2排出量削減に向けた取り組みも進められています。
3.7 原子力発電と安全性
原子力発電は、ウラン資源を利用して発電する技術であり、日本では軽水炉が主に使用されています。福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電の安全対策が強化され、放射性廃棄物の処理や再処理技術の発展が課題となっています。
3.8 再生可能エネルギーの可能性
水力発電、地熱発電、バイオマス、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギーの現状と課題について解説しています。再生可能エネルギーは、持続可能なエネルギー供給の鍵として期待されていますが、導入コストや技術的な課題が残されています。
3.9 電力系統とその安定性
電力系統の構成や運用の仕組み、再生可能エネルギーの導入による課題について説明しています。電力系統は、需要と供給のバランスを維持するための高度な管理が求められており、再生可能エネルギーの不安定性に対処するための技術開発が進められています。
3.10 ガス供給と熱供給システム
ガス供給システムの構成や利用状況、熱供給システムの役割について解説しています。都市ガスやLPガスの供給、コージェネレーションシステムによる効率的なエネルギー利用が注目されており、震災後の非常用電源としての役割も強調されています。
3.11 まとめ
エネルギー問題は、多くの要素が絡み合う複雑な課題であり、技術士はその解決に向けて専門的な知識と技術を駆使し、社会に貢献する役割を担っています。エネルギーの安定供給、環境保全、安全性、経済性のバランスを考慮した総合的なエネルギー政策が求められています。