【技術士二次試験】コンクリートに蓄電する

2023/10/26

コンクリートに蓄電する

NEDO海外レポートNO.1131, 2021.9.3.ですが、最近「日経新聞」に載ったので、ご紹介します。
まずは日経新聞(2023年8月24日 5:00)の記事、全文は以下のURL

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC144HE0U3A81...

米マサチューセッツ工科大学(MIT)はセメント、炭素材料、水でできた電力貯蔵装置を開発した。セメントを使うコンクリート製の住宅や道路などの構造物を蓄電設備にできる可能性がある。
開発した素子は「スーパーキャパシター」の一種。スーパーキャパシターは2つの電極で電解液と絶縁膜を挟んだ構造を持ち、両極のイオンを着脱して充放電する。リチウムイオン電池に比べて容量は小さいが、充放電の速さと出力の大きさが特徴で、新たな電力貯蔵装置で注目を集める。

次は、2年前の記事ですが「NEDO海外レポートNO.1131, 2021.9.3.」

全文は以下のURL
https://www.nedo.go.jp/content/100936677.pdf

セメントベース蓄電池の世界初のコンセプト(スウェーデン)
巨大な蓄電池のようにエネルギーを貯蔵できる、20階建てのコンクリートの建物を想像してみてほしい。スウェーデンのチャルマース工科大学のユニークな研究が、そのようなビジョンをいつか実現させるかもしれない。この度、同校土木建築工学部の研究者たちが、セメントベース畜電池の新しいコンセプトの概要に関する論文を発表した。
サステナブルな建築材料の必要性はますます増加しており、研究者には大きな課題が課されている。スウェーデンのチャルマース工科大学に以前在籍していた Emma Zhang氏は、未来の建築材料研究のため、数年前から Luping Tang教授の研究グループに加わっている。今回、セメントベース蓄電池の世界初となるコンセプトの開発に成功した。

***********引用はここまで***************

異なる研究グループが、同じような成果を出すことはよくあります。
ただ、いずれにしても、もう少し研究が進んで実用化すれば素晴らしい技術だと言えます。
例えば、太陽光発電パネルで発電した電力をビルや住宅の基礎コンクリートに充電することが可能になるかもしれません

現状、風力や太陽光発電の最大のデメリットは、電気を使いたいときに使えるようになっていないということです。
太陽光発電が夜に発電できないのは当然です。
太陽光発電の発電量は、天候に大きく影響されてしまいます。
梅雨の時期や日照時間の少ない冬は、思うように発電できないこともあるでしょう。また、梅雨以外の時期でも雨、曇りといった日はあるので、想定通りに発電できない場合もあります。

他にも太陽光パネルは高温に弱い性質があります。そのため、夏場など気温の高い日は、晴れていてもパネルの表面温度上昇によって発電効率が低下していきます。
このように太陽光発電の発電量0もしくは少ない場合、発電した電気で自宅の消費電力をカバーしきれず電気料金負担を削減しにくい日も出てきます。

単純に1年は365日×24時間=8,760時間ですが、雨や曇りの日が多い日本では都道府県別の日照時間は以下の通りです。

01位山梨県(甲府)2391.3 時間
02位群馬県(前橋)2381.3時間
03位愛知県(名古屋)2330.6時間
04位三重県(津)2325.9時間
05位埼玉県(熊谷)2308.3時間
06位徳島県(徳島)2289.9時間
07位和歌山県(和歌山)2288.8時
08位岐阜県(岐阜)2277.8時間
09位大阪府(大阪)2265.6時間
10位高知県(高知)2265時間
NEDOのデータより)

最下位の秋田県では1,526時間しかありません。
トップの山梨でも、年間で考えれば8760時間に対し27%です。

一方、風力は風があれば、昼夜を問いませんが、逆に風が無ければ昼も夜も風力発電はプロペラが止まります。
現在、発電機の極数を増やしたり、風速に合わせて異なる発電機を切り替えたりして、低風速でも効率良く発電する工夫が行われています。しかし、安定供給の観点からすると十分ではありません。
機種にもよりますが、風力発電は約2m/sで回転し始め、3~25m/sの間で発電します。風力エネルギーは風速の3乗に比例するため、安定した電力を得るには30~40mの設置高さで、年平均風速が6~7m/s以上あるのが理想です。

また、風をエネルギーに変換する風力発電なのに、強風で風車が基礎ごと倒れるリスクがあるのです。ですから、台風の時には使えません。
上記のようなデメリットを克服するために、安く大量の電気を蓄電できる「電池」が欲しい訳です
今回のコンクリートに蓄電できる技術は、まだ詳細も可能性も不明ですが、何とか上手くいって欲しいと思うのは私だけではないでしょう。


No Image 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール

1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。

次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。

匠習作技術士事務所代表技術士
プロフェッショナルエンジニア養成コンサルタント、医療機器業界転進コンサルタント、医工コーディネーター日本技術士会会員・日本機械学会会員・失敗学会会員、人工知能学会会員、日本医工ものづくりコモンズ会員、日本シャーロックホームズクラブ会員、放送大学大学院在学中

『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。


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