【技術士二次試験】分野毎のカーボンニュートラルにはどんな課題があるか?

2023/03/23

分野毎のカーボンニュートラルにはどんな課題があるか?

まず、製造業でカーボンニュートラルに取り組む場合、以下の課題が抽出できます。
製造業でカーボンニュートラルに関する課題は以下のように挙げられます。

エネルギーの使用:製造業においては、機械や設備の稼働により多量のエネルギーを使用しています。このエネルギーの使用を削減し、再生可能エネルギーの導入を進めることが必要です。

原料や部品の調達:製造業では、原料や部品の調達において輸送や生産工程でCO2を排出することがあります。カーボンニュートラルを目指すためには、省エネや省CO2技術の導入、サプライチェーンの見直しが求められます。

プロセスの見直し:製造工程において、CO2を排出するプロセスがある場合があります。カーボンニュートラルを目指すためには、プロセスの見直しや代替技術の導入が必要です。

顧客のニーズに対応した製品の開発:製品の使用時にCO2を排出することがある場合、CO2排出量の低減に取り組んだ製品の開発が必要です。
循環型経済への移行:製品の廃棄に伴う廃棄物や排出ガスなどの処理や再利用が必要です。廃棄物の減量化や再利用、循環型経済の推進が求められます。

以上が、製造業でカーボンニュートラルに関する課題の例です。
これらの課題に対して、省エネや省CO2技術の導入、再生可能エネルギーの活用、プロセスの見直し、製品の開発、循環型経済の推進などの取り組みが求められます

次に建設業ではどうでしょうか?
似たような課題もありますが、異なる課題もあります。

製品のサプライチェーンの脱炭素化:建設業界には、建築資材や機器などの多くの製品が含まれています。これらの製品は、製造や輸送などの過程で大量の温室効果ガスを排出することがあります。サプライチェーンの脱炭素化には、再生可能エネルギーの使用、製品の効率的な輸送方法の採用、そして製品の再利用やリサイクルが含まれます。

建設プロセスの最適化:建設現場における作業プロセスの最適化は、エネルギーの使用を削減することができます。たとえば、建設廃棄物の再利用やリサイクル、建物の断熱性や気密性の向上、そして省エネ設備の導入などが挙げられます。

規制と政策の変化:政府の規制や政策の変化は、建設業界がカーボンニュートラルになるために必要な支援を提供することができます。たとえば、エネルギー効率の向上に向けた補助金や税制上の優遇措置、建設物のエネルギー効率に関する規制などが挙げられます。

意識の向上:最後に、建設業界がカーボンニュートラルになるためには、従業員や顧客、サプライヤーなどの意識が向上する必要があります。このためには、エコフレンドリーな実践を普及させる教育プログラムの提供や、持続可能な製品やサービスの開発や宣伝を含めた、総合的なコミュニケーション戦略が必要になります。また、カーボンニュートラルに向けた業界団体の設立や、そのような業界団体が提唱する行動規範の策定なども重要です。

コストとリターンのバランス:カーボンニュートラルに向けた施策は、初期投資が大きいため、長期的な視野でのリターンを見据える必要があります。業界全体で、カーボンニュートラルに向けた取り組みのコストとリターンを正しく評価し、経済的に持続可能なモデルを見出すことが重要です。

スキルや技術の向上:建設業界がカーボンニュートラルに向けて進むためには、従業員に必要なスキルや技術を習得することが必要です。たとえば、エネルギー効率の高い建物を設計したり、再生可能エネルギーを活用するための技術を習得することが挙げられます。業界団体や教育機関が、このようなスキルや技術の習得に向けたトレーニングや教育プログラムを提供することが重要です。

調達と協力関係の確立:カーボンニュートラルに向けた取り組みは、建設業界全体が協力することでより効果的に進めることができます。サプライヤーや顧客との協力関係を確立し、環境に配慮した製品やサービスの調達を進めることが重要です。

計測・報告・検証の仕組みの整備:カーボンニュートラルに向けた取り組みの効果を正確に把握するためには、計測・報告・検証の仕組みを整備することが必要です。

業界全体で、共通の基準や指標を策定し、正確なデータを収集・共有することで、業界のカーボンニュートラル化に向けた進捗状況を把握し、より効果的な施策を打つことができます


No Image 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール

1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。

次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。

匠習作技術士事務所代表技術士
プロフェッショナルエンジニア養成コンサルタント、医療機器業界転進コンサルタント、医工コーディネーター日本技術士会会員・日本機械学会会員・失敗学会会員、人工知能学会会員、日本医工ものづくりコモンズ会員、日本シャーロックホームズクラブ会員、放送大学大学院在学中

『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。


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