2022/10/13
技術士の義務と責任
技術士は、職域コース毎にふさわしい職業倫理と問題解決能力を備え、技術士法に定められている「義務と責任」を適正に果たさなければなりません。
技術士法の記載をまとめてみましょう。
(1) 公益確保等の社会的役割に対する責務
1)義務の履行
技術士は、技術士法において、3つの事項の義務を課されている。それは、「信用失墜行為の禁止」「技術士等の秘密保持義務」、そして「技術士の名称表示の場合の義務」である。信用失墜行為の禁止は、職業的な権威にかかわるもの、秘密保持義務は、依頼者の利益擁護に関わるもの、そして名称表示は、資格の範囲に関わるものである。これらの義務の履行は、技術士として当然なすべきことであり、いずれの職域の技術士もこれを侵すことはできない。
2)公益確保の徹底
技術士法改正の特徴の一つは、同法第45条の2に「公益確保の責務」が規定されたことである。内容は、「技術士又は技術士補は、その業務を行うにあたっては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないように努めなければならない」となっている。
コンサルタントの技術士および公務員技術者の技術士が公益を損なった場合、責任を自ら負うことは当然のこととして、企業内技術者のリーダーとしての技術士も、技術面で責任の重い役割を担うことが多く、公の生命や財産の安全を損なう危険性が高いため、公益確保を最優先して倫理的な判断、技術的な判定を下さなくてはならない。
3)職業倫理の遵守
日本技術士会の技術士倫理要綱のまえがき部分で、「技術士は、公衆の安全、健康および福利の最優先を念頭に置き、その使命、社会的地位、および職責を自覚し、日頃から専門技術の研鑚に励み、つねに中立・公正を心掛け、選ばれた専門技術者としての自負を持ち、本要綱の実践に努め行動する」として、10の項目を掲げている。それらは、「品位の保持」「専門技術の権威」「中立公正の堅持」「業務の報酬」「明確な契約」「秘密の保持」「公正、自由な競争」「相互の信頼」「広告の制限」、そして「他の専門家等との協力」である。
社会や技術が急速に多様化、高度化、そして複雑化しているため、技術を正しく適用しなかった場合、社会に甚大な被害を与えることがあります。自然との共生や公の安全などを前提とした職業倫理は、21世紀技術士にとって最も重要な考え方です。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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