2022/03/03
試験問題でも、解答の中でも「安全・安心」という言葉はよく出てきます。
でも、この言葉の意味を考えると、本当に一緒に使って良いのか?
と考えざるを得ません。
安全とは
安全とは何かを考えると、安全の国際標準の定義には「許容できないリスクがないこと」と、「危険をゼロにする(絶対安全)」の2つがあります。
また、総合技術監理を行う立場では、安全といった場合には労働安全衛生以外にも考慮しなければならない項目は様々に存在します。例えば、近年その対応の重要性が増している社会的リスク(セクシャルハラスメント、海外における文化摩擦など)や情報リスク(情報漏えい、情報遮断など)に対する対応も組織や部署の安全を担保する上で考慮する必要があります。それらを一体的に管理する手法がリスク管理や危機管理と呼ばれるものです。
安心とは
仏法によって心の安定を得ること。儒教の〈安心立命〉より出た語。各宗派の定める教義や実践法によって信仰を確立すること,あるいはその方途をいう。したがって諸宗によって意味内容を異にする。最も早く安心の語を用いたのは禅宗で,《続高僧伝》巻十六の菩提達磨の伝に,彼が壁観によって仏道と冥合したことに用いた。天台宗では,智顗(ちぎ)が止観を達成して法性(ほつしよう)の理に安住することを表した。善導以後,浄土系諸宗では広くこの語を用い,阿弥陀仏の救いを信じて往生を願う心を表現した。
上記のとおり、元々安心は宗教的な言葉です。
そして、我々、エンジニアは、安全な社会を実現するために努力し、研鑽すべきです。
安心は、宗教家に任せましょう。
ですから、たとえ、問題文に「安全・安心」という言葉があっても、解答する皆さんは、安易に「安心」と書かない方が良いと思います。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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