2020/10/22
技術士二次試験の筆記試験が終ると
令和2年度の試験では、設問が少し変化しました。
Ⅱ-1とⅡ-2は、ほとんど変更ありませんが、必須とⅢは、設問1、3、が変化しています。
見てみましょう。
例えば建設部門:道路
令和元年は
Ⅲ-1
(1)平時の交通処理能力を大幅に上回る大会期間中の交通需要に対して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
これが令和2年では
Ⅲ-1
(1)自転車の活用の推進により解決されうる課題について、技術者としての立場で多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2)前問( 1 )で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問( 2 )で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
「多面的な観点から課題を抽出し分析せよ」が、「多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ」になっています。
「分析」ではなく、「観点と共に示せ」となっています。要するにどの観点から見たのか、それが分かれば良いのです。
ただし、設問2では、元年、2年の共に「最も重要な課題」を挙げることを求められています。つまりこのとき、令和元年の試験問題なら、「分析した結果から最も重要な課題を導く」ことができますが、令和2年度の問題文では、分析がありませんから、最も重要な課題を決めた理由が必要になると思います。
今度は、水道部門の必須を見てみましょう。
令和元年の問題文は
Ⅰ-1
技術者としての立場で多面的な観点から上下水道事業に共通する課題を抽出し分析せよ。
抽出した課題のうち最も重要と考える上下水道事業に共通する課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
令和2年度の問題文は
Ⅰ-1
上下水道事業においても、健全な水循環構築のための取組が求められている。これについて、技術者としての立場で多面的な観点(水量水質、水辺環境)から、健全な水循環の構築に関して上下水道事業に共通する課題を複数抽出し、その内容を観点とともに示せ。
前問( 1 )で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
上記のすべての解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
前問( 1) ~( 3) の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
Ⅲと同じように、設問の1の分析がなくなり、「その内容を観点と共に示せ」となっています。
また、設問3は、「新たに生じうるリスクとそれへの対策」から、「波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策」に変わっています。
波及効果ですから、プラスの面も含みます。リスクはプラスの面を含みません。
懸案事項は、マイナス面と考えて良いでしょう。
また、全ての問題文が同じように変化した訳ではありません。
令和元年の試験問題のままの部門や科目もあります。
要するに2通りになったと考えてください。