2020/10/07
『動物農場』を読んでみませんか?
英国の小説家、ジョージ・オゥエルによって、1945年に執筆出版されました。
彼の作品の中でも名作です。
「動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫) (日本語) 文庫」
作者ジョージ・オーウェルはスターリンの独裁を批判すべくこの寓話を書きまいた。それは確かですが、読者はここで、動物農場の動物たちと同様、人間に能力差がある以上、指導する者とされる者との分裂は不可避だと言うことを思い知らされます。また、指導層の増長ないし専横は、不完全な人間のことゆえ、これまた不可避だということです。
オーゥエルはこの苦い真実を明確に表現しています。
作中の豚には名前が付いています。その名は、ナポレオンとスノーボール。
ソ連の革命に詳しい方なら、ナポレオンがスターリンで、スノーボールが、トロツキーであることが直ぐに分ります。
スターリンらしきナポレオンが、スノーボールを追放するまでの経緯はこうです。トロツキーを思わせるスノーボールは「雄弁によって大多数の支持を得ることが多かった」が、スターリンを思わせるナポンオンは「会議の合間に、自分の支持票をかき集めるのが上手」でした。
スノーボールは農場に風車を建設し、「風車で発電機を動かし、農場に電気を供給」しようと提案しました。しかし、ナポレオンは「現在もっとも緊急なことは食糧の増産で、もし風車の建設などにかかずらって時間をむだにしていたら、みんな餓死してしまう」と主張します。
ここで動物たちは分裂します。
「スノーボールに投票すりゃ、週三日制」、「ナポレオンに投票すりゃ、かいば桶がいっばい」と、それぞれスローガンを掲げて2つの党派が結成されます。
それから後の話は省きますが、その中で、知能が低く豚の良いなりになるしかない、他の動物たちと、狡猾でずる賢い豚のやり取りが面白く続きます。
読者である我々は、無知な善人と知識のある悪人(政治家)が、本来どうあるべきなのかを考えさせられる訳です。
それほど、長編ではないので、数時間あれば読書可能です。
読んだことがある人も多いかもしれませんが、読んでない方は、ぜひこの機会に読んで見て下さい。
倫理=技術者倫理 ではないことが分かると思います。