再び問題と課題
問題=目標=現状と理想のギャップ
課題=目標へ向かう途中の障害物=ゴールへの到達を阻む物
講義では上記のような説明を行っています。
実際の筆記試験では、課題の抽出と分析、そして最も重要な課題の解決策を求めています。
そのため、受講者の皆さんを惑わすようなことは書きたくないのですが、事実は事実なので以下は知っておいて下さい。
以下、令和元年度の情報工学と経営工学の必須問題です。
(長くなるので問題の前文は省きます)
令和元年
情報工学
Ⅰ-1
(1)要素分割の良さをどのように評価するかを概説した上で、実際に要素分割を行うに当たっての課題を述べよ。
(2)要素分割の具体例を示し、(1)に挙げた課題がどのように解決されるか示せ。
(3)(2)の分割例における要素関連携インタフェースに着目して、 リスクを評価し、その対策を述べよ。
(4)分散協調連携システムの設計 ・運用において必要となる要件や留意点を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
Ⅰ-2
(1)システムの設計に当たって、想定されるステークホルダごとの要件を抽出し分析せよ。
(2)抽出した要件のうち最も重要と考える要件を挙げ、その要件に対する複数の解決策を示せ。
(3)それらの解決策を評価し、解決しきれない共通の課題と対策を挙げよ。
(4)上記の業務遂行において必要な要件や留意点を 情報工学の技術者として、倫理、杜会の持続可能性の観点から述べよ。
Ⅰ-2では、全く同じ文脈で「要件」と言う言葉を「課題」の意味で使っています。そして、課題をリスクの代わりに使っています。
他の部門の方はこれを見てどう思いますか?
次は、
令和元年
経営工学
Ⅰ-1
(1)必要なときに、必要なものが、必要な量だけ供給できるようにするために、技術者としての立場でJIT方式とMRP方式における問題を多面的な観点から抽出して分析せよ。
(2)そのうち、最も重要と考える問題を1つ挙げ、その問題の解決策を複数示せ。
(3)その上で、解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
Ⅰ-2
(1)技術者としての立場で多面的な観点、から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を 1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点、から述ベよ。
Ⅰ-1では、全く同じ文脈で「問題」と言う言葉を「課題」の意味で使っています。
リスクはリスクのままです。
これを見たとき、最初は誤植かと思いました。
しかし、2つの部門で誤植はあり得ません。
確認の電話でも「誤植ではない」とのことでした。
令和2年の試験問題がどうなるのかわかりませんが、公式的に考えないで、文脈の中で判断して下さい。
私は4年前に文部科学省の技術士分科会の方に電話で直接質問しています。
そのときは、「それは言葉の問題だからどっちでもよい」とハッキリ言われました。
もしかしたら、今でも変わらないのかもしれません。
ですから、問題文をよく読んでそれに合せて下さい。
そんなに難しい話ではありません。