2019/08/22
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
と言うのが、事前に発表された問題の種類です。
そして、評価項目は
「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーションの各項目」
と言うことでした。
私は、長文の前文を含む、3~4の設問形式になると予測しました。
結果として、設問形式になりましたが、どの部門でも長文の前文は掲載されませんでした。
言ってみれば、受験者にとっては優しい問題です。
設問の部分を20部門全て確認したのですが、驚いたことがあります。
いくつかを見てみましょう。
機械
Ⅰ-1
(1)機械製品のものづくりの手法を上記の考え方に沿って転換する場合に必要な検討項目を、技術者としての立場で、多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点、から述ベよ。
電気電子部門
Ⅰ-1
(1)電気電子分野のシステム・機器における「開発・生産と利用・消費との関係性における持続可能なバランスの確保」の考え方に基づき、技術者としての立場で多面的な観点、から課題を抽出し分析せよ。解答は、上記の関係性の観点を明記した上で、それぞれの課題について説明すること。
(2)(1)で抽出した課題の中から最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を3つ示せ。
(3)上記すべての解決策を実行した上での新たな波及効果、及び懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4) (1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の保全の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
金属部門
Ⅰ-1
(1)構造材料を対象として、新たな生産技術・プロセスや新材料を検討する上で、技術者としての立場で多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について、あなたの専門技術を踏まえて考えを述べ
(4)上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
建設部門
Ⅰ-1
(1)建設分野における生産性の向上に関して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
上下水道部門
Ⅰ-1
(1)技術者としての立場で多面的な観点から上下水道事業に共通する課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える上下水道事業に共通する課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
まだありますが、ほとんど同じです。
前文にあるテーマは異なりますが、設問は20部門で40問の問題が皆同じです。
来年度は、少し変化すると思いますが、技術士試験があまりに形式的になることに対し、私は少し危機感を持っています。そのような問題ばかりになると、考える力を養う必要がなくなります。
皆さん、注意して下さい。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。