2019/04/04
では、その技術者倫理とは何でしょうか?
技術士には3義務2責務があることはご存知でしょう。
要するに技術士法の第四章です。
(信用失墜行為の禁止)
第四十四条 技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(技術士等の秘密保持義務)
第四十五条 技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなった後においても、同様とする。
(技術士等の公益確保の責務)
第四十五条の二 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当っては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。
(技術士の名称表示の場合の義務)
第四十六条 技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。
(技術士の資質向上の責務)
第四十七条の二 技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。
この他に技術士補の業務制限もありますが、ここでは関係がないので省きます。
これが、技術者倫理でしょうか?
実はそうではありません。
上記は法律です、倫理ではありません。
法と道徳の関係について「法は最小限の道徳規範である」という言葉もあります。ドイツの国法学者イェリネクの言葉です。道徳的に是とされたものと否とされたものがある場合、法は道徳的に否とされたものの中で境界線を引く、という考えです。
しかし、これは間違いだと思います。
また、「技術士には、3義務2責務があるから倫理的な職業であり、資格だ」と言う方もいますが、これも誤解です。
もう一度、良く考えて下さい。
安易な解答を求めてはダメです。
技術士になるのであれば、技術者倫理を避けて通れません。
考えて、考え抜いて業務の詳細に入れて下さい。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。