口頭試験の頻出問題6
平成30年度の試験は択一試験が全体的に難しかったようで、「8問正解でダメでした」と言う連絡をずいぶんと頂きました。
残念ですが、択一で8問正解の場合、論文の評価がありません。
これは、31年度の試験を目指す場合少し不利になります。
とは言え、終わってしまったものは仕方がないのです。
悔しい気持ちを胸に、リベンジの炎を燃やし続けて下さい。
31年度の試験からは択一試験がなくなります。
技術士試験は、5~6年ごとに試験の内容が変わります。
この10年程度ですが、平成19年と25年に変更がありました。
19年から24年の間は、やはり択一試験がなく、午前中は必須論文問題だったのです。
ですから平成31年からの試験と形式的な部分は同じと言うことです。
では、同じような問題が出題されるのかと言うとそれは少し違います。
19年度のときは「技術部門全般にわたる論理的考察力と課題解決能力」を2時間半の試験で試すことになっています。
しかし、31年度からは、「技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力」が試されることになりました。
時間は2時間です。
この違いが問題文にどのような形で表現されるのか、それは分かりません。
しかし、これまでの経緯からおそらく、長文の問題が提示され、その下に3~4の設問形式で問題が構成されると思います。
例えば平成24年の建設部門では以下のような問題です。
平成24年建設部門 Ⅱ-1 東日本大震災を契機として,あらためて防災・減災対策のあり方が議論されている。 建設部門に携わる技術者として,我が国の防災・減災に向けた社会基盤の整備における課を3つ挙げ,その内容を説明せよ。 また,それらの課題に対し,防災・減災に向けた今後の社会基盤の整備を具体的にどのように進めていくべきか,あなたの意見を述べよ。
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しかし、31年度はこのような問題ではなく、文章の後に設問が付けられる形式の問題になると思います。
例えば以下です。
第5次評価報告書第1作業部会報告書の主要な結論
観測事実 ・ 気候システムの温暖化については疑う余地がない。1880~2012年において、世界平均地上気温2は0.85[0.65~1.06]℃3上昇しており、最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温である。 ・ 世界平均地上気温は数十年にわたって明確な温暖化を示しているが、その中には、概ね十年程度の周期での変動や年々の変動もかなり含まれている。過去15年(1998~2012年)の世界平均地上気温の上昇率は1951~2012年の上昇率より小さい。 ・ 1971~2010年において、海洋の上部(0~700m)で水温が上昇していることはほぼ確実である。 ・ 1992~2005年において、3000m以深の海洋深層で水温が上昇している可能性が高い。 ・ 海洋の温暖化は、気候システムに蓄えられたエネルギーの変化の大部分を占め、1971~2010年の期間ではその90%以上を占めている。 ・ 過去20年にわたり、グリーンランド及び南極の氷床の質量は減少しており、氷河はほぼ世界中で縮小し続けている。また、北極の海氷面積及び北半球の春季の積雪面積は減少し続けている。 ・ 19世紀中頃以降の海面水位の上昇率は、それ以前の2千年間の平均的な上昇率より大きかった。
温暖化の要因 ・ 人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高い。 ・ 1750年以降の二酸化炭素の大気中濃度の増加は、地球のエネルギー収支の不均衡に最も大きく寄与している。太陽放射は20世紀にわたるエネルギー収支の不均衡にほとんど寄与していない。 ・ エーロゾルの排出や、エーロゾルと雲との相互作用による放射強制力は、地球のエネルギー収支の変化の見積もりやその解釈において、最も大きな不確実性をもたらしている。以上を踏まえ、以下の設問に答えよ。
(1)この報告書を読んで、あなたの専門分野ではどのような対策が考えられるか自由に述べよ。 (2)対策を実施する上で、発生すると考えられる問題点を多面的に述べよ。 (3)(2)で挙げた問題の中から最も重要な問題点は、何か理由と共に述べよ。 (4)問題点を解決する方策を述べよ。
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註:あくまで、予想であり、予想が当たるとは言いません。