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刑法の因果関係についてご質問です。セレクト過去問集に、以下の…

スタディング受講者
質問日:2024年2月21日
刑法の因果関係についてご質問です。セレクト過去問集に、以下のような問題と回答・解説がありました。
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ウ.甲は,Vに致死量の毒薬を飲ませたが,その毒薬が効く前に,Vは,事情を知らない乙に出刃包丁で腹部を刺されて失血死した。(甲がVに致死量の毒薬を飲ませた行為と死亡に因果関係は認められるか)

ウ (因果関係は)認められない
相当因果関係が認められるには、その前提として条件関係が認められることが必要です。
本小問において、Vにはまだ毒薬が効いていなかった段階で、全く無関係な乙がVを刺殺しています。そうすると、甲の毒薬を飲ませる行為が無かったらVの死亡が無かったとはいえず、甲の行為とVの死亡との間に条件関係が認められません。したがって、因果関係も認められません。
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これと、以下に転載する「択一的競合」の関係はどう捉えたら良いのでしょうか。罪種は異なりますが場面は似ているように感じ、上記の例も択一的競合の考え方でいくと条件関係が認められそうに思いました。よろしくお願いいたします。

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②択一的競合
 その行為単独でも結果が発生したであろう行為を、2人以上の者が同時に行った場合。
 (具体例)寝たきりのVに対し、Xは殺意を持って、毒薬を混入させた食事を与えた。しかし一方、Yもその食事に同じ毒薬を混入させていた。Yの罪責は。
 →「Yの行為がなかったとしても、VはどうせXの毒で死んでいた」として、Yを無罪とするのは不当
 →このような場合は条件関係の概念を修正して適用すべき(条件関係修正説)
その行為単独でも結果が発生したであろう行為を、2人以上の者が同時に行った場合、どういう理由で帰責しうるのか(Yについて、「あれなければこれなし」と言えない点が問題)。

価値判断
(「Yの行為がなかったとしても、VはどうせXの毒で死んでいた」としてYを無罪とするのはいかにも不当)

理由付け
あれなければこれなしという条件関係の要求は、択一的競合の場合までも想定したものではなく、起こった結果を誰に帰責するのかを判定するためのもの
結論
いくつかの条件のうち、いずれかを除いても結果は発生するが、すべてを除くと結果が発生しないという場合は、すべての条件につき、条件関係を認めるべき(条件関係修正説)。
→Yには殺人既遂罪が成立(Xにも同様に殺人既遂罪が成立)
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回答

漆原 講師
公式
回答日:2024年2月21日
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