司法試験・予備試験のQ&A

【再質問】 以下ご回答いただき、ありがとうございます。回答を…

スタディング受講者
質問日:2024年2月13日
【再質問】
以下ご回答いただき、ありがとうございます。回答を踏まえて、再質問させていただきます。

▽結局、エホバの証人輸血拒否事件の最高裁判決は、この事例においては憲法上保障された人権が侵害されたことを認定したといえるのでしょうか?それとも、そこはあいまい(「人格権の一内容として尊重しなければならない」とは認定しているが、それが憲法上保障されている部分とは認めていない?)なのでしょうか?

▽関連して、2024年版のスマート問題集憲法11で、「自己決定権を憲法上の権利として正面から認めた最高裁判例は存在しない」という記述が正解とされていますが、もしこの最高裁判決を憲法上の人権侵害を認めた判決と読むのであれば、「一定の個人的事柄(今回の場合は輸血をするか否か)につき、公権力から干渉されることなく、個人が自ら決定できる権利」を正面から認めているようにも見えます。どのように考えれば良いのでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

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【以前の質問】
基本講座の動画では「エホバの証人輸血拒否事件」の判例の解説として、「この事例の場合においては、輸血を拒否するという意思決定をする権利は、人格権の一内容として憲法上の権利と言っていいだろう、という内容」だと解説されていました。
一方で、スマート問題集では、「宗教上の理由から輸血を断る自由について判断した判例(最判H12.2.29)は「意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されなければならない」と述べたものの、意思決定をする権利が憲法上の権利か否かについては言及していません。他にも、自己決定権を一般的に憲法上の権利として正面から認めた最高裁判例は存在しません。」とあります。判例は結局、憲法上の権利とは認めていないのでしょうか?認めているのでしょうか?

「このような意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されなければならない」という判例の言い回しをどう捉えたらいいのか、混乱しています。

講義を受けて、「新しい人権」の一番大枠として人格権があると理解したのですが、その人格権もすべてが憲法上の人権として保障されるわけではないということでしょうか(そして、輸血を断る権利はこの「憲法上は保障されていない人格権」にあたるということでしょうか)。

となると、憲法上の人権として保障されない「人格権」というのは、何から基礎付けられる権利なのでしょう。

ご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。


【以前の回答】
ご質問ありがとうございます。

人格権は「各人の人格に本質的な生命、身体、健康、精神、自由、氏名、名誉、肖像および生活等に関する利益の総体」のこというと解されていますが(芦部信喜 著 , 高橋和之 補訂『憲法 第七版』(岩波書店、2019年)125頁)、これは憲法13条によって導かれる人権であるといえます。プライバシー権や肖像権、名誉権などが代表例です。
そのため、「「新しい人権」の一番大枠として人格権があると理解した」という部分はそのとおりであると思います。
また、「その人格権もすべてが憲法上の人権として保障されるわけではない」という部分についてもその通りだと思います。
エホバの証人輸血許否事件判決においても、最高裁はあえて「自己決定権」という言葉は使わずに、「人格権の一内容として尊重されなければならない」とし、結論としては「同人の人格権を侵害した」としています。
つまり、「自己決定権」自体が人格権として保障されるかどうかは明文はありませんが、人格権の一内容として尊重すべきであるため、人格権侵害である点は認定しているわけですね。
短答式試験対策としては、判例がどこまで言及しているのかということを押さえておくことが重要です。
論文式試験対策としては、13条の幸福追求権を無条件に認めると人権のインフレ化を招きかねない点を指摘した上で人格的利益説に立ち、個々の問題となる権利が「個人の人格的生存に不可欠か否か」という視点で検討をしていくことになります。

以上となりますが、ご参考にしていただけますと幸いです
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回答

漆原 講師
公式
回答日:2024年2月13日
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