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問題2 インターネット上の名誉毀損罪の成否と表現の自由【平成…

スタディング受講者
質問日:2022年11月18日
問題2 インターネット上の名誉毀損罪の成否と表現の自由【平成30年 司法第5問、予備第3問】 において、記述アの答えは「正しい」となっていますが、私はそれに疑問を感じ、解説を読み込んである程度の納得はできたものの、未だ「誤り」でも間違っていないのではという感覚が拭えません。
どう考えれば、再現性のある明白な思考でこの問題を乗り越えることができるでしょうか。
私の思考回路を記すので、矯正すべき点をご指摘いただければ幸いです。


この設問の見解は
「インターネットの利用者は、自己の見解を外部に向かって発信することができるから、インターネットを利用している被害者は、自己に向けられた加害者のインターネットを上の表現行為に対し、言論による反論が可能である。したがって、インターネットの利用者が名誉毀損の表現行為をした場合には、新聞などのマス・メディアを通じた表現の場合よりも、名誉毀損罪の成立する範囲を限定すべきである。」
というものです。

それに対し記述アは
「この見解に対しては、インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり、自己の名誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体、そもそも不可能である、という批判があり得る」
としています。

まず、私は記述アを読んだとき、「インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり、」の部分について、それはマス・メディアにおいても全く同じであると思いました。確かに世界に存在する総情報量はインターネット上の方がマス・メディア上よりも多いと思われますが、いずれにせよ「全ての情報を知る」という観点に立てばほとんど同じくらい不可能であると考えられます。
そして、記述ア続き「自己の名誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体、そもそも不可能である」の部分については、それはインターネット上であろうとマス・メディア上であろうと全く変わらない当然の事実です。

このように考えると、私には、記述アの文章は全く意味のない言葉の羅列に見えます。よって「誤り」が正解に感じられます。

解説には
「設問の見解は、被害者は加害者に対し、言論による反論が可能であるからこそ、インターネット上の名誉毀損罪の成立範囲を限定すべきである、というものです。
 被害者が加害者に反論できなければ、設問の見解は成り立たないことになります。記述アは、インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり、被害者が反論できないという見解であり、批判として成り立ちます」と書かれています。

解説の通り、被害者が加害者に反論できないならば、設問の見解は成り立ちません。しかし「全ての情報を知ることは不可能」「自分の名誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体、そもそも不可能」という一般論を並べても、「インターネット上ではマス・メディアと比較して反論がしやすい」という論理を覆すことはできません。もちろん設問の見解には「インターネット上ではマス・メディアと比較して反論がしやすい」などとは書かれていませんが、私にはそれが設問の見解に明らかに内包されているように感じられます。

設問の見解前半には「インターネット利用者はインターネット上の表現行為に反論が可能である」としか書かれていません。その部分を「インターネット上の全ての表現行為に反論が可能である」と解釈するのか、それとも「インターネット上ではマス・メディアと比較して反論がしやすい」と解釈するのかは、確かにどちらも可能だとは思います。そして解説を読む限り解説は前者の解釈を採用しているように考えられますが、私としては後者の解釈の方がより自然に感じられます。

以上から、私は記述アが「誤り」であっても良いのではないかという気がしています。
このような問題で詰まらずに、しっかりとスピーディに正答できる力を付けていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願い致します。
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回答

漆原 講師
公式
回答日:2022年11月18日
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