2026/3/5
昨年の話ですが、2025年6月に「修習技術者のための修習ガイドブック」第3.1版が刊行されました。
最大の違いは、「コンピテンシー(PC)」の位置づけです。
第3.0版では、基本修習課題として「専門技術能力」「業務遂行能力」「行動原則」を軸に整理されていました。IEAのPCとの関係は参考資料として示されていましたが、本文の中心ではありませんでした。
一方、第3.1版ではPCを正面から定義しています。
PCとは「知識・スキル・態度・価値観が有機的に結合し、行為として表出する能力」であると明確に記載され、15のPC要素ごとに達成基準が示されました。これは決定的な変化です。能力の“説明”から“評価可能な基準”へと進化しています。
さらに、第3.1版ではGA(Graduate Attributes)とPCの関係が明確化されています。
GAは教育段階で達成される成果水準、PCは実務を通じて発揮される専門職能力です。つまり、修習とはGAを強化し、PCを獲得するプロセスだと整理されています。
もう一つの大きな変化は、価値観の軸です。
第3.1版では「個人と社会のWell-being」という言葉が明示されました。技術士の目的は、個人の幸せと社会の幸せを一致させることにあると明言されています。これは倫理の章の補強ではなく、技術士像そのものの再定義です。2023年改訂の技術士倫理綱領の影響も明確です。
修習プロセスも変わりました。第3.0版はPDCAでしたが、第3.1版ではRPDCに変更されています。最初に「Review(自己レビュー)」を置き、現状の棚卸しから始める構造です。これは国際標準的なIPDの考え方に近づいたものです。修習は計画から始めるのではなく、自己分析から始める。ここが重要です。
ページ数が減った理由も明確です。
第3.0版にあった修習事例、制度史、海外資格の詳細解説などは整理され、共通ベンチマークとしての役割に特化しました。
第3.1版は「最低基準を明示する評価基準書」なのです。
受験者が意識すべきことは三つです。
第一に、「何を学んだか」ではなく「何ができるか」を語れるかどうか。
第二に、PCの15要素を自分の実務にどう落とし込めるか。
第三に、自律した判断と責任ある行動を言語化できるか。
試験は知識量を測るものではありません。専門職としての能力発揮を問うものです。Ver3.1はそれを明確に示しています。
『修習技術者のための修習ガイドブック -Ver3.1』の原本は以下です。
https://www.engineer.or.jp/c_topics/011/011040.htm...
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。
特典1 ![]() 合格ノウハウを公開! 受験生必見の合格セミナー さらに「必勝合格法」冊子付! | 特典2 ![]() 論文対策のポイントを伝授! まずはここから!初めて論文対策をする方に手法を動画で紹介! | 特典3 ![]() 添削課題のイメージがわかる! 添削課題(サンプル版)を無料で確認できる!有料版では16部門に対応! |