『南海トラフ巨大地震 最大クラス地震における被害想定について』という資料はご存じですか?
URLは以下
中央防災会議 防災対策実行会議
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが令和7年3月に発表した資料です。
目次は
目 次
I 被害想定趣旨等について .................................. 4
1.被害想定の目的 .................................................. 4
2.今回の被害想定の性格(巨大地震・津波と被害想定をどう捉えるべきか)
.............................................................. 4
3.今回の被害想定の構成 ............................................ 5
4.防災・減災対策の基本的な考え方 .................................. 5
Ⅱ 総括 .................................................... 6
1.全国の様相 ...................................................... 7
2.被害の大きい地域の様相 ......................................... 13
Ⅲ 項目別の被害の様相 ..................................... 20
1.建物被害 ....................................................... 24
2.屋外転倒物、落下物 ............................................. 27
3.人的被害 ....................................................... 28
4.ライフライン被害 ............................................... 41
5.交通施設被害 ................................................... 65
6.生活への影響 ................................................... 82
7.災害廃棄物等 .................................................. 110
8.その他の被害 .................................................. 112
9.経済的な被害 .................................................. 154
10.地域特性に応じた被害シナリオ ...........................163
内容をポイントだけ要約します。
重要なポイントの解説(Ⅰ~Ⅱ章「総括」まで)
1.被害想定の目的と性格
南海トラフ巨大地震に関する今回の被害想定は、以下のような意図で策定されています。
• 目的:
o 巨大地震と津波による被害の「全体像と規模の把握」。
o 国や自治体が立案する防災・減災施策(地震防災戦略、応急対策活動要領等)の基礎資料として活用。
o 国民に防災・減災の必要性と効果を「見える化」し、理解を深める。
• 想定の性格:
o 科学的知見に基づく「最大クラスの地震」を前提。
o 発生頻度は極めて低く、「千年に一度」あるいはそれ以上の低頻度。
o 「想定外をなくす」という東日本大震災からの教訓を踏まえた設計。
o 地震の規模にかかわらず、対策を講じることで被害は大幅に軽減可能。
2.防災・減災対策の基本的な考え方
• 地震動や津波高は最大クラスを前提とし、防災対策の最大限の強化を目指す。
• ただし、全ての被害をゼロにすることは非現実的であり、「命を守る」ことに主眼を置く。
• ソフト(避難計画、意識啓発など)とハード(津波避難施設、土地利用制限など)の統合的な対策が不可欠。
• インフラや企業、地域、個人がそれぞれの役割を認識し、備える必要がある。
3.全国的な被害の様相(発災直後~1週間後)
南海トラフ巨大地震が発生した際に、全国規模で起こる被害の概要は以下の通りです。
建物・人的被害
• 揺れによる全壊:約61万棟~127.9万棟。
• 津波による全壊:約16.1万棟~20.8万棟。
• 死者数:最大で約29万人にのぼる可能性(建物倒壊+津波+火災)。
• 要救助者:最大で約38万人。
ライフライン
• 電力:最大約2,950万軒が停電。西日本では供給力が半減。
• 水道:最大約3,690万人が断水。
• ガス:最大約175万戸で供給停止。
• 通信:固定・携帯電話が90%規制され、通話不可エリアが発生。
交通
• 高速道路、新幹線、在来線の全線が一時不通。
• 本四連絡橋の2ルートで通行止め。
• 主要空港が閉鎖され、緊急輸送のみ運用。
• 港湾機能の多くが津波により機能停止。
生活・社会への影響
• 約1,000万人超が避難。
• 帰宅困難者が中京・京阪神圏で約400万人。
• 食料・水の不足が深刻(3日間で約2,000万食不足)。
• 火葬場や棺の不足により土葬も検討される。
4.被害の大きい地域の様相
中部、近畿、四国、九州を中心に、以下のような影響が顕著とされます。
発災直後
• 耐震性の低い建物の多数倒壊。
• 津波により沿岸住宅が壊滅的被害。
• 火災が多数発生するも、道路の寸断で消火不能。
• ライフラインは最大9割が停止。
• 新幹線、在来線の全面停止。
2日後まで
• 道路啓開が進まず、物資・人員輸送が遅延。
• 携帯基地局が次々と電源喪失、不通エリアが拡大。
• ガソリン供給や商店の物流が完全停止。
• 食料生産・流通が全国レベルで混乱。
3日後以降
• 高速道路の仮復旧が進み、緊急輸送が開始。
• 避難所の収容能力を大幅に上回る避難者が発生。
• 燃料不足が深刻化し、災害対応車両の活動にも支障。
• 医療・衛生対応が困難。感染症リスクや遺体管理に深刻な影響。
5.経済的な被害の概要
南海トラフ地震は、単に物的な被害だけでなく、国全体の経済活動に長期かつ深刻な影響を及ぼすとされています。
超広域でのインフラ・ライフラインの損壊
• 電力、水、交通などの相互依存が強いため、一度壊れれば復旧が長期化。
• 中京・近畿・四国を中心に甚大な影響が見込まれる。
製造業・食料供給の壊滅的打撃
• 被災地域には太平洋ベルトの中枢産業が集中。
• 自動車、半導体、食料加工などのグローバルなサプライチェーンに連鎖的影響。
• 被災地外でも「部品が来ない」「原材料が届かない」等で操業停止が拡大。
人流・物流の遮断による損失
• 東海道新幹線、名神高速などの大動脈が寸断。
• 港湾・空港が機能停止し、国内外の物流に大打撃。
• 輸出入の機会損失、代替輸送によるコスト負担も深刻。
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