製造業の場合は、リスクが多種多様になりますが、建設土木や水道などの部門では多様なリスクを挙げにくいです。
以下を確認して下さい。
建設部門の問題で生産性向上が課題だとして、解決策にDX推進やITの活用を挙げたとします。
その場合、皆さんなら解決策を進めても新たに生じるリスクには何が考えられますか?
リスクは可能性の話です。
分かりきったことはリスクになりません。
良く見るリスクは、以下の4つです。
1)サイバー攻撃による建設プロジェクトの混乱
リスクの内容:
クラウド管理された施工データやIoT機器の制御システムがハッキングされる可能性がある。
設計データの改ざんや、施工機械の遠隔操作が悪用されると、安全性に重大な影響を及ぼす。
2)システム障害・サイバー攻撃による業務停滞
リスクの内容:
クラウド管理された施工計画やBIM/CIMモデルのデータがサーバーダウンやサイバー攻撃によって利用不能になる可能性がある。
施工管理システムが不正アクセスやデータ改ざんの標的となり、工程が混乱する可能性がある。
サプライチェーン全体でデジタル連携が進むほど、一部のシステム障害が広範囲に影響を及ぼす。
3)技術のブラックボックス化によるトラブル対応の遅れ
リスクの内容:
AIや自動化システムが施工計画や管理業務に導入されることで、技術者がシステムの動作原理を十分に理解しないまま運用する可能性がある。
予期せぬトラブルが発生した際、問題の特定や解決に時間を要し、かえって工期遅延やコスト増大を招く。
4)高度なIT人材の不足による運用課題
リスクの内容:
DXの推進には専門的なITスキルが求められるが、建設業界にはIT技術者が不足しており、十分な活用ができない可能性がある。
新システム導入後の運用・メンテナンスを担う人材が確保できず、現場でのトラブル対応が遅れる。
現場技術者とITエンジニアのコミュニケーションギャップが生じ、システムが十分に活用されない。
あまりみないけどユニークなリスクは以下
5)データ依存による意思決定の偏り
リスクの内容:
DXやITに依存しすぎることで、現場の経験や勘に基づく柔軟な判断が失われる可能性がある。
設計や施工計画の最適化がデータに基づいて行われるが、予測不能な現場状況(地盤の変動や異常気象など)に適応しづらくなる。
システムが過去のデータに基づくため、新規技術や工法の適用に慎重になりすぎる可能性がある。
6)現状のレガシーシステムとの不整合による業務停滞
リスクの内容
建設業界では、長年にわたって運用されてきたレガシーシステム(旧来の施工管理ソフト、CAD、積算システム、発注システムなど)が存在し、新システムとの互換性が確保されない可能性がある。
新たなDXツールを導入しても、レガシーシステムとのデータ互換性が低いため、業務プロセスが途切れ、効率が落ちる。
特に官公庁や自治体の発注業務では、旧来の書類ベースの手続きが根強く残っており、新システムに完全移行できない場合がある。
データフォーマットの違いや連携機能の不足により、手作業でのデータ変換が必要になり、かえって業務負担が増大する可能性がある。
7)DX化に対する現場の抵抗・適応遅れ
リスクの内容
ベテラン技術者が新しいデジタル技術の導入に反発し、DX活用が進まない可能性がある。
新技術の導入が進む一方で、現場の作業員に十分な教育が行き届かず、誤操作やトラブルが頻発する。
特に中高年の現場技術者がDXツールを使いこなせず、DX活用の格差が生まれる。