2025/03/13
再生可能エネルギー・自然エネルギー・新エネルギー・1
以下は資源エネルギー庁のサイトにある情報を元に整理しています。
上記3つの分類は曖昧さを含んでいます。
技術士二次試験で厳密な定義が求められるのかは分からないですが、念のためしっかり理解してください。
再生可能エネルギーの定義(英語では「renewable energy」)
エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められています。
ここで水力発電が問題になります。
日本国内の商業発電は水力発電が最初です。
以下の通りです。
・1891年(明治24年)に京都蹴上発電所が日本で最初の一般商用水力発電所として運転を開始した
・1907年に山梨県大月市の駒橋発電所で、東京早稲田の変電所まで電力を送電できるようになった
・1912年に鬼怒川渓谷に黒部ダムが建設され、関東地方初の商業用ダムとなった
・1924年に大同電力が木曽川に大井発電所を完成させ、日本初の本格的ダムをもつ発電所となった
・1951年には水力発電が日本の電力供給の70~80%を担っていた
高度経済成長期を迎えると電力消費量が高まり、大規模水力発電所は建設し尽くされ、発電の主力は水力から火力へと転換されました。
しかし、大型の水力発電は大規模なダムを必要とします。
有名な「黒部の太陽」黒部川第四発電所には、黒部川という1つの水系には5つのダムと12の水力発電所があります。
黒部ダムはその中の1つです。
黒部ダムは、1956年(昭和31年)着工当時、「電力開発は1万kW生むごとに死者が1人出る」と言われていました。完成時、25万kWを生み出した黒部ダムの建設工事で171人の殉職者を出した黒部ダムですが、今なら工事自体が中止になったかもしれません。人が行くこと自体が当時命がけだった秘境の黒部峡谷でのダム建設の困難さを示しています。
当時、黒部峡谷のダム建設現場では「黒部にケガはない」と言われていました。しかしその言葉の意味は、工事での労働災害が無いという意味ではなく、「落ちたらケガでは済まない」という意味であり、工事のミスは即死を意味したのです。
話を戻します。
水力発電は昔からありました。そのため、東日本大震災以降「再生可能エネルギー」を増やすというときに、2011年当時でも日本の総発電量の9%を担っていた水力発電を再生可能エネルギーにカウントすると量的に大きくなるのです。
太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギー、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源です。
(エネルギー庁)
となったのです。
自然エネルギーの定義(英語では「natural energy」または「renewable energy」)
自然エネルギーとは、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの自然の力を利用して得られるエネルギーの総称です。地球温暖化の原因となるCO2をほとんど排出せず、一度利用しても比較的短期間に再生が可能で枯渇しないことから再生可能エネルギーとも呼ばれます。
【自然エネルギーの種類】
太陽光発電:日当たりさえあれば設置でき、屋根や壁などのスペースを利用することもできる
風力発電:大規模に発電できれば、風が吹く限り夜間も稼働できるので大きな発電量が見込める
小水力発電:河川の水を貯めることなく、そのまま利用する発電方式
地熱発電:火山帯に位置する日本では安定供給が期待できるエネルギー
バイオマス発電:動植物などから生まれた生物資源を燃やしたり、ガス化したりなどで発電する
新エネルギーとは(日本だけなので英語はありません、日本の法律上の言葉です)
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない、再生可能なエネルギー源です。
【新エネルギーの定義】
非化石エネルギーのうち、技術的には実用段階にあるものの、経済性の面での制約から普及が十分でないエネルギー源
オイルショックなどによる石油などの価格高騰や地球温暖化防止を背景に、利用促進を図るべきエネルギー源
【新エネルギーの具体例】
太陽光発電
風力発電
水力発電(出力1,000kW以下)
地熱発電(バイナリー発電)
バイオマス発電
雪氷熱利用
河川水などを熱源とする温度差熱利用
太陽熱利用
【新エネルギーのメリット】
持続可能な資源を利用するので地球環境にやさしい
資源の枯渇のリスクが少ない
輸入に頼る必要がなく、純国産エネルギーとして位置づけることができる
【新エネルギーのデメリット】
水力発電、火力発電、原子力発電に比べると、土地や天気に左右されて安定した供給が難しい
発電コストが高い
設置場所が限定される
再生可能エネルギー・自然エネルギー・新エネルギーは解答に書くときに注意して記述して下さい。
最後に、「再生可能エネルギー」という言葉自体変な言葉です。
熱力学の法則を理解していれば、エネルギーは決して再生しないことは分かっていると思います。まあ、これは仕方がありませんね。