【技術士二次試験】発電とダムを考える

2024/03/14

発電とダムを考える

『水力発電が日本を救う』2016年・竹村公太朗著

上記の本から日本のダムについて考えてみます。

ダムはその堅固さにより、実質的に半永久的に機能すると考えられています。この信頼性の背景には、ダムが地震などの自然災害に耐えうる設計がされている事実があります。
例えば、東日本大震災時にもダム本体が破損することはありませんでした。これは日本のダム設計が、明治以降の頻繁な地震にも耐えられるようになっていることを示しています。

ダムが壊れない理由は主に3つあります。

鉄筋を使用していない: ダムのコンクリートは、鉄筋を含まず、セメント、砂、石のみで構成されています。これにより、内部の鉄が錆びることなく、時間が経過してもコンクリートが劣化しにくいです。実際に、ダムのコンクリートは天然の岩と同じように時間が経つほどに堅固になります。

岩盤に直接設置: ダムは、堅固な岩盤の上に直接建設されます。これにより、建物を支えるための杭が不要になり、より安定した基礎が確保されます。

壁の厚み: ダムの壁の厚さは、その高さとほぼ同等に設計され、非常に厚いことが多いです。これにより、ダムは非常に大きな圧力にも耐えることができます。

しかし、ダム湖が土砂で埋まる問題は存在しますが、これは適切な管理と土砂排出方法によって解決可能です。
多目的ダムでは、洪水時に土砂を排出する設備が備えられており、土砂の堆積を抑える設計になっています。さらに、土砂が堆積した場合の対策として、浚渫や土砂排出設備の追加などが可能です。
ダムの発電能力をさらに活用する方法として、発電設備のないダムに発電機能を追加する、ダムの高さを上げる(カサ上げ)などが挙げられます。
これらの方法により、ダムの発電能力を増大させ、国内の電力供給に大きく貢献することが可能です。

ダムが提供する利点は単に構造的な耐久性にとどまらず、エネルギー生産、洪水制御、灌漑など多岐にわたります。特に日本のような地震が多い国では、ダムの安全性は公共の安全と直結しています。
以下では、ダムの潜在的な発電能力の活用と、環境や経済への影響についてさらに詳しく説明します。

ダムの発電能力の拡大
日本では、ダムの潜在的な発電能力が十分に活用されていない現状があります。ダムの発電設備を新たに追加すること、既存のダムのカサ上げにより貯水容量を増やすこと、そして多目的ダムの運用変更により発電量を増大させることが可能です。

発電設備の追加: 現在発電していないダムに穴を開けて発電設備を設置することは技術的に可能です。これにより、新たな水力発電が可能となり、再生可能エネルギー源としてのダムの価値が高まります。

カサ上げ: ダムの高さを上げることで、貯水量が増加し、水位の上昇によって発電量も増加します。たとえば、ダムの高さを10%増やすだけで、発電量は約70%増加すると試算されています。

運用変更: 多目的ダムの運用法を変更することにより、ダムの空き容量を発電に活用することができます。これには、法律や規制の改正が必要になる場合もありますが、これにより発電能力を大幅に増大させることが可能です。

環境および経済への影響
ダムの発電能力を拡大することは、環境に対するポジティブな影響と経済的な利益をもたらします。

環境保全: 再生可能エネルギー源としての水力発電は、化石燃料に依存することなく、CO2排出量を削減することができます。これにより、気候変動対策に貢献します。

経済効果: 新たな発電設備の設置やダムのカサ上げは、地元経済に対する直接的な投資となります。また、安定した電力供給は産業活動を支え、長期的な経済成長に寄与します。



結論
ダムはその堅固さと多目的な利用により、日本のインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たしています。特に、ダムの発電能力の拡大は、環境保全と経済発展の両方に寄与する可能性を持っています。適切な管理と技術的な改善により、ダムは今後も日本の持続可能な発展に貢献していくことが期待されます。ダムの持つ潜在力を最大限に引き出すためには、技術的な革新、法的・政策的なサポート、そして環境への影響を最小限に抑える持続可能な運用方法の開発が必要です。

技術的革新: 新しい発電技術や効率化技術の開発を進めることで、既存のダムから更に多くの電力を得ることが可能になります。また、土砂の堆積問題への対処や、ダム構造の安全性をさらに高める技術の進化も重要です。



No Image 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール

1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。

次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。

匠習作技術士事務所代表技術士
プロフェッショナルエンジニア養成コンサルタント、医療機器業界転進コンサルタント、医工コーディネーター日本技術士会会員・日本機械学会会員・失敗学会会員、人工知能学会会員、日本医工ものづくりコモンズ会員、日本シャーロックホームズクラブ会員、放送大学大学院在学中

『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。


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