相続税法は、税法のみならず民法の知識が必要なこと、相続税と贈与税の2つの税について学ぶことが、ほかの税法と異なる大きな特徴です。その分、難しいと感じる受講生さんも少なくないと言います。スタディング税理士講座では、それらをどう学ぶのでしょうか。また、どのような工夫やこだわりがあるのでしょうか。今回も、スタディング税理士講座 相続税法の主任講師 金澤美佐先生にじっくりとお話を伺います。
相続税法はほかの税法とは異なり、民法と非常に密接な関わりがありますので、相続税法を学ぶにはまず民法の知識をおさえておくことが大前提となります。民法の相続規定で出てくる用語や概念がそのまま相続税法でも使われているので、まずはその用語・概念に慣れてもらうことからスタートします。なので、講座の一番はじめに、相続税法の基本のみならず、法定相続人や相続順位、相続分など民法における相続規定の基本を学ぶことがこの講座の特徴といえるでしょう。
そうですね。また、相続税法では相続税の他に贈与税についても規定されているので、相続税と贈与税の2つ(1税法2税目)を学ぶことも相続税法の大きな特徴です。なので、カリキュラムには、贈与税の基本知識や計算方法、控除の講義も基本講座に組み込んで、しっかり学べるようになっています。
さらに、相続税法では相続税の税金計算方法を学ぶ事も重要ですが、評価額がいくらのものに税率をかけるかという点も知っておかなければなりません。そのため、不動産や上場株式、公社債、預貯金といった財産をそれぞれどのように評価するのかを学ぶ「財産評価」にも重点を置いて見ていきます。あとは、小規模宅地等の特例や住宅取得等資金、教育・結婚・子育て資金の非課税など細かい部分も学習していただくような構造になっています。 カリキュラムの構造としては、まずは民法の相続概念から入って、相続税申告書を作成するための全体像をつかんでいただき、そこから各論を学んでいくというイメージでしょうか。
スタディングの講座全般に言えることですが、いつでもどこでもスキマ時間に受講できるのが一番の魅力になっていることが大きな魅力です。相続税法も、いつでもどこでも受講できる講座ということで、いかに効率よく学習できるか、いかに簡潔でわかりやすい教材を作るかということに力を入れています。講義のほうも、だらだらとしゃべるのではなく簡潔明瞭に、かつ受講生さんの記憶に残りやすくお話するよう心がけています。
相続税法の講座のテキストについては、図解やフローチャートをたくさん使って、とにかくわかりやすく、頭に入りやすく、記憶に残りやすくできるようにしています。特に重要な論点は、強調するための色使いにも気を配り、いやでも記憶に残るようなイメージで作っています。
講義の内容をかなり絞って、本試験で問われやすい重要度の高いところを深く学習できるようにしています。また、本試験の問題にはそのときの情勢や試験委員の傾向などが反映されることが多いので、そういった点も踏まえて講座づくりをしていますね。情勢については、試験の直前期に世間で騒がれていることや判決が法改正に反映されたことが試験問題に出ることがあるので、直前対策講座ではそういったことも盛り込んでいます。
試験委員には大学の先生と税理士や公認会計士などのベテランの実務家がいて、理論問題は大学の先生が、計算問題は実務家が作成していると言われています。試験委員の任期は3年。税理士試験はどの税法科目にも理論問題と計算問題が50点ずつ出題されるのですが、大学の先生はそれぞれ専門分野をお持ちなので、理論問題はどういうところが問われるかが予想しやすいんです。一方、計算問題は実務家の先生が試験委員に着任された初年度でおおよその傾向をつかんで、次年度以降講座のほうに反映させています。ただ、初年度は傾向がわからないのでいつもドキドキですね。
やりたいことは、理論をいかにより早くラクに暗記できるかというところを突き詰めていくことです。会計科目やほかの税法科目でも理論問題は出てくるのですが、「理論がなかなか覚えられない」という受験生は非常に多くいます。それほど、理論問題は記憶に苦労するものなのです。中でも、相続税法はほかの税法と異なり、民法の用語や概念も入ってくるため聞き慣れない言葉が多く、「とっつきづらくて覚えられない」という方が多いんですね。今でも暗記ツールや音声ツールなどはスタディング税理士講座でも用意していますが、民法の用語や概念が入っても暗記しやすくなるものに改良していきたいですね。
法改正の内容をできるだけ問題演習に取り入れていきたいと思っています。本試験では、法改正直後の論点が出題されることがあります。
スタディング税理士講座には、過去問3回分、過去問に基づいてスタディングが作成したオリジナル問題6回分の答案練習ができる「直前対策講座」があります。そこに収録している設問に、法改正にちなんだ問題をできるだけたくさん取り入れることで、法改正論点の問題解答量の不足部分をカバーしていきたいと思います。
税理士試験はとにかく諦めずに勉強を続けていれば、必ず合格できます。私も途中さまざまな理由で勉強をお休みしたので、お仕事や家庭の事情などでなかなか勉強を続けられない人の気持ちもよくわかります。しかし、それでも勉強を続けて、10年近くの年月がかかりましたがなんとか5科目すべて合格できました。
税理士になれば、税の知識を活かして法人や個人を問わずたくさんの方のお役に立つことができます。いろいろなお客さまがいるので苦労もありますが、それでも自分のした仕事でものごとがいい方向に進んだときは疲れが吹き飛びますよ。
勉強をしている最中には、途中でいろんな壁にぶち当たるかもしれません。でも、せっかく「税理士になりたい」という思いで勉強を始めたのですから、時間を少しでも多く確保して勉強を続けていただきたいですね。そして、ぜひ一人でも多くの方に合格を勝ち取っていただきたいと思います。
金澤 美佐 (かなざわ みさ) プロフィール
兵庫県神戸市生まれ。大妻女子大学卒業。 一般企業勤務を経て、2009年より大手資格専門学校にて10年以上にわたって簿記論講師・相続税法講師として講義、教材開発に従事。多くの受験生指導に携わり合格者を多数輩出。 2010年に税理士事務所を開設し、実業と資格取得のサポートに注力し、効率的な学習にフォーカスした授業に定評がある。 |