氏に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。
ア AにはBとの間に生まれた嫡出でない子C(16歳)がおり,CがAの氏を称していた場合において,AがDとの婚姻によってDの氏を称することとしたときは,Cは,家庭裁判所の許可を得て,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,Dの氏を称することができる。
イ AとBは婚姻した際にBの氏を称することとしたが,その後Bが死亡した場合には,Aは,Bの死亡によって当然に婚姻前の氏に復する。
ウ AとBは婚姻した際にBの氏を称することとしたが,その後AとBが離婚した場合には,Aは,離婚の日から3か月以内であれば,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,婚姻前の氏を称することができる。
エ AとBが婚姻した際にBの氏を称することとした場合には,その後AとCとの間で,Cを養親,Aを養子とする養子縁組がされたときであっても,Aは,Bの氏を称する。
オ AにはBとの間に生まれBから認知を受けた子Cがおり,CがAの氏を称していた場合において,AがBとの婚姻によってBの氏を称することとしたときは,Cは,AとBの婚姻によって当然にBの氏を称する。
解答:2
ア 〇
子が父又は母と氏を異にする場合には,子は,家庭裁判所の許可を得て,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,その父又は母の氏を称することができます。したがって,本肢のCは,家庭裁判所の許可を得て,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,Dの氏(父Aの氏)を称することができます。
ポイント 子が15歳未満である場合は,その法定代理人が代わって行います。
イ ×
夫婦の一方が死亡したときは,生存配偶者は,婚姻前の氏に復することができます。
ポイント 当然に復氏するわけではありません。
ウ ×
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は,離婚によって婚姻前の氏に復します(当然に復氏します)。
ポイント この場合,復氏した夫又は妻は,離婚の日から3ヵ月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることにより,「離婚の際に称していた氏」を称することができます。
エ 〇
養子は養親の氏を称するのが原則ですが,婚姻によって氏を改めた者については,婚姻の際に定めた氏を称すべき間は,その氏を称します。本肢のAは,婚姻によりBの氏に改めていますので,Aの養子になったとしても,なおBの氏を称します。
ポイント 婚姻による氏のほうが優先されます。
オ ×
父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には,子は,父母の婚姻中に限り,家庭裁判所の許可を得ないで,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,その父母の氏を称することができます。本肢のCは,母AがBの氏に改めたことによりAと氏を異にしていますので,届け出ることによりBの氏を称することができます。当然にBの氏を称するわけではありません。
ポイント 許可は不要ですが,戸籍法の定めるところにより届け出ることが必要です。