商人(小商人,会社及び外国会社を除く。)の支配人に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。
ア 支配人の代理権は,商人又は支配人が破産手続開始の決定を受けたことによって消滅する。
イ 支配人は,商人に代わってその営業に関する裁判外の行為をする権限は有するが,裁判上の行為をする権限は有しない。
ウ 支配人が商人の許可を受けないで自ら営業を行ったときは,当該営業によって自己が得た利益の額は,商人に生じた損害の額と推定される。
エ 支配人の代理権に加えた制限は,善意の第三者に対抗することができないが,支配人の代理権に加えた制限の登記の後であれば,当該第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときでない限り,当該第三者に対抗することができる。
解答:2
ア 〇
支配人の代理権は,商人又は支配人が破産手続開始の決定を受けたことによって消滅します。
ポイント そのほか,当事者の死亡や解除はもちろん,支配人が後見開始の審判を受けた場合も,代理権は消滅します。
イ ×
支配人は,商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。
支配人の代理権は,裁判上の行為にも及びます。
ウ ×
支配人が,商人の許可を受けないで,自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をしたときは,当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は,商人に生じた損害の額と推定されます。しかし,支配人が商人の許可を受けないで自ら営業を行った場合には,このような推定はされません。
ポイント 商人の許可が必要となる行為について確認しておきましょう。
エ ×
支配人の代理権に加えた制限は,善意の第三者に対抗することができません。また,支配人の代理権に加えた制限は登記事項ではありませんので,登記することはできません。
ポイント 共用部分である旨の登記がされた建物の種類等を申請情報の内容としなければならないわけではありません。
オ 〇
商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は,当該営業所の営業に関し,相手方が悪意であったときを除き,一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされます。本肢では,商人がその営業所の使用人に営業所長の肩書を付与していますので,当該商人は,当該使用人が当該営業所の営業の主任者であって代理権があると信じたことにつき過失がない第三者に対し,当該使用人が当該第三者との間で締結した当該営業所の営業に関する契約の無効を主張することができません。。
ポイント いわゆる「表見支配人」に関する内容です。