株式会社の設立に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。
ア 設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において,設立時発行株式の数を定款で定めていないときは,発起人は,設立時募集株式に関する事項を定める時までに,その全員の同意によって,定款を変更して設立時発行株式の数の定めを設けなければならない。
イ 発起人は,設立時募集株式を,申込者が引き受けようとする設立時募集株式の数に応じて,均等に割り当てなければならない。
ウ 株式会社の存続期間は,株式会社の成立後であっても,定款に定めることができる。
エ 設立時募集株式の引受人がその払込金額の全額の払込みを仮装した場合において,払込みを仮装することに関与した発起人が当該払込金額の全額を支払ったときは,当該発起人は,払込みを仮装した設立時発行株式について,設立時株主及び株主の権利を行使することができる。
解答:5
ア ×
設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において,発起人は,その全員の同意により,設立時発行株式の数等の一定の事項を定めなければなりません。この点,設立時発行株式の数の定めは定款の絶対的記載事項ではありませんので,定款を変更して定める必要はありません。
ポイント 発行可能株式総数の定めと区別しましょう。
イ ×
発起人が,申込者に割り当てる設立時募集株式の数を定めるにあたっては,申込者が引き受けようとする設立時募集株式の数よりも減少することができ,均等に割り当てる必要はありません。
ポイント 割当自由の原則が採られています。
ウ 〇
株式会社の存続期間は定款の絶対的記載事項ではありませんので,設立時の定款に定める必要はありません。会社の成立後であっても,定款を変更することにより定めることができます。
ポイント 定款の絶対的記載事項を確実に覚えておきましょう。
エ ×
設立時募集株式の引受人による払込みの仮装に関与した発起人が,会社に対する支払義務を履行して当該払込金額の全額を支払ったときは,当該引受人は,払込みを仮装した設立時発行株式について,設立時株主及び株主の権利を行使することができるようになります。支払いをした発起人が権利を行使できるわけではありません。
ポイント 共用部分である旨の登記がされた建物の種類等を申請情報の内容としなければならないわけではありません。
オ 〇
会社成立後において定款を変更した場合に,公証人の認証を要するという規定はありません。
ポイント 公証人の認証は原始定款にのみ要求されています。