民事執行法-債務執行
平成28年 午後の部 第7問

司法書士試験ピックアップ過去問解説

問題

金銭債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。)に対する強制執行に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

なお,少額訴訟債権執行については考慮しないものとする。

ア 金銭債権に対する強制執行は,執行裁判所の差押命令により開始する。

イ 差押命令は,第三債務者を審尋して発しなければならない。

ウ 金銭債権の一部が差し押さえられた後,その残余の部分を超えて別に差押命令が発せられたときは,各差押えの効力が及ぶ範囲は,当該金銭債権の全額を各差押債権者の請求債権の額に応じて按分した額に相当する部分となる。

エ 執行裁判所は,債務者の申立てにより,債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して,差押命令の全部又は一部を取り消すことができる。

オ 執行裁判所は,差押債権者の申立てにより,支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令を発することができる。


1 アウ    2 アエ    3 イウ    4 イオ    5 エオ

解答・解説

解答:3

ア 
金銭債権に対する強制執行は,執行裁判所の差押命令により開始します。。

ポイント 動産の引渡しを目的とする債権に対する強制執行についても同様です。


イ ×
金銭執行に係る差押命令は,債務者及び第三債務者審尋しないで発せられます。

ポイント 当該債権が処分されるのを防止するためです。


ウ 
×
金銭債権の一部が差し押さえられた後,その残余の部分を超えて別に差押命令が発せられたときは,各差押えの効力は,その債権の全部に及びます

ポイント 差押えの効力が全部に及び,その後の配当手続で按分されます。


エ 

執行裁判所は,債務者の申立てにより,債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して,差押命令の全部又は一部を取り消すことができます。

ポイント 債権者の申立てにより,差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することもできます。


オ 
執行裁判所は,差押債権者の申立てにより,支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令を発することができます。

ポイント いわゆる「転付命令」と呼ばれるものです。


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