中小企業診断士 資格試験(1次試験)の過去問を体験!

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中小企業診断士の資格試験(1次)に出題された過去問をピックアップしました。

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企業経営理論

労働基準法第 32 条の 3 に定められた、いわゆる「フレックスタイム制」に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら、効率的に働くことを可能とする制度であって、当該一定期間は 1か月を超えることはできない。

イ フレックスタイム制を採用した場合は、労働基準法第 34 条第 2 項に定められた休憩についてのいわゆる「一斉付与の原則」は適用されない。

ウ フレックスタイム制を採用する場合であって、対象となる労働者に支払われると見込まれる賃金の額が当該企業における労働者一人当たりの平均給与額の 3 倍の額を相当程度上回る水準である場合は、労働時間、休日及び深夜労働に関する割増賃金の支払いを要しない。

エ フレックスタイム制を採用する場合には、労働基準法第 32 条の 3 に定められた労使協定において標準となる 1 日の労働時間を定めておかなければならない。


【令和2年度 第1次試験「企業経営理論」第25問】

解説・回答
正解:エ


フレックスタイム制に関する問題です。

選択肢アですが、フレックスタイム制は1か月を超えて3か月以内まで適用できます。したがって、不適切な記述です。

選択肢イですが、フレックスタイム制を採用したとしても、原則として労働基準法の休憩時間や休憩の与え方の考え方が適用され、一斉付与の原則は適用されます。したがって、不適切な記述です。

選択肢ウですが、フレックスタイム制では対象労働者にかかわらず、清算期間における法定労働時間を超えて労働した時間及び深夜労働に対する割増賃金を支払わなければなりません。したがって、不適切な記述です。

選択肢エですが、フレックスタイム制を採用する場合、標準となる1日の労働時間を定めなければなりません。したがって、適切な記述です。

財務・会計

キャッシュ・フロー計算書に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア 「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分では、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。

イ 受取利息及び受取配当金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示しなければならない。

ウ キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物期末残高と、貸借対照表の現金及び預金の期末残高は一致するとは限らない。

エ 法人税等の支払額は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示される。


【令和2年度 第1次試験「財務・会計」第13問】

解説・回答

正解:ウ

「キャッシュ・フロー計算書」に関する知識を問う問題です。頻出テーマではありますが、細かい知識を問われているため、やや難しい問題です。

選択肢アですが、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示方法には、「直接法」と「間接法」の2種類の方法があります。

直接法 直接キャッシュの動きを伴う取引を記録し、これを集計することによって作成します。直接法では、営業収入や、原材料又は商品の仕入支出、人件費支出、その他の営業支出について、キャッシュの出入りを表示します。直接法は、活動ごとの資金の流れが分かりやすいというメリットがあります。

間接法 間接法は、損益計算書と貸借対照表からキャッシュ・フローを計算する方法です。間接法では、税引前当期純利益から出発し、キャッシュの動きを表すように修正をしていきます。間接法は、キャッシュ・フローと利益との差異の原因が分かりやすいというメリットがあります。

上記より、「直接法」では、取引を記録し集計しますが、「間接法」では取引ごとの表示は行いません。よって、不適切です。

選択肢イですが、受取利息及び受取配当金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示する方法と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に表示する方法が認められているため、選択肢の内容は不適切です。

選択肢ウですが、「キャッシュ・フロー計算書」の「現金及び現金同等物」は、3ヶ月以内に満期が到来する定期預金が含まれます。一方で、「貸借対照表」が対象とする現金及び預金は、1年以内に満期が到来する定期預金が含まれます。つまり、「キャッシュ・フロー計算書」の「現金及び現金同等物」は、3ヶ月以内のものを対象としており、「貸借対照表」の「現金及び預金」は、1年以内のものを対象としているため、その対象とする範囲が異なっています。よって、適切です。

選択肢エですが、法人税の支払額は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「小計」より下の欄に区分されます。よって、不適切です。

上記より、よって、正解はウになります。

運営管理

発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア あらかじめ定めた一定量を発注する方式は定量発注方式と呼ばれる。

イ 定期的に発注する方式は適用が容易であり、ABC 分析におけるC品目でよく用いられる。

ウ 毎回の発注量を 2 ロット(ビン)ずつに固定する発注方式はダブルビン方式と呼ばれる。

エ 毎月第 1 月曜日に発注するなど発注する時点が固定される発注方式は発注点方式と呼ばれる。


【令和2年度 第1次試験「運営管理」第13問】

解説・回答

正解:ア

発注方式に関する問題です。

選択肢アですが、定量発注方式とは、在庫量が一定の量まで減少した時点で、あらかじめ定めた一定量を発注する方法です。したがって、適切な記述です。

選択肢イですが、定期発注方式とは、一定の期間ごとに一定期間の需要量を予測して、それに基づいて発注する方式です。発注の都度、需要予測を行うため、適用が容易とは言えません。また、ABC分析においては、取扱い金額又は量が大きいA品目で用いられます。したがって、不適切な記述です。

選択肢ウですが、ダブルビン方式とは定量発注方式の簡易的手法です。一方の容器が空になり、他方の在庫を利用し始めたときに、一つの容器の容量を発注します。したがって、毎回の発注量を2ロット(ビン)ずつに固定する発注方式ではないので不適切な記述です。

選択肢エですが、発注時点が固定される発注方式は定期発注方式です。したがって、不適切な記述です。

経営情報システム

PC を用いる業務処理では多様なソフトウェアが使われていることから、異なるソフトウェア間でデータを交換する場合がよくある。

データ交換に利用するデータ形式としての CSV に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア 文字データや数値データだけではなく、データ間の区切り位置にタグを挿入することで画像やプログラムも記録できる。

イ 文字データや数値データだけではなく、データ間の区切り位置にタブを挿入することで計算式や書式情報も記録できる。

ウ 文字データや数値データのデータ間の区切りとしてカンマを、レコード間の区切りとして改行を使用する。

エ 文字データや数値データのデータ間の区切りとして空白、コロンあるいはセミコロンを使用する。


【令和2年度 第1次試験「経営情報システム」第8問】

解説・回答

正解:ウ
本問では、CSVについて問われています。


選択肢アですが、CSVでは、データの区切り位置にタグを挿入することはできません。また、CSVはテキストファイルであるため、画像やプログラムを記録することもできません。よって、不適切です。

選択肢イですが、データ間の区切り位置にタブを挿入するものは、TSV(Tab Separated Values)と呼ばれます。よって不適切です。

選択肢ウですが、記述の内容はCSVのものです。よって適切であり、これが正解となります。

選択肢エですが、記述の内容はCSVのものではありません。よって、不適切です。

ファイルには様々な種類がありますが、各ファイルの基本的な知識を知っているだけで得点できる問題が定期的に出題されます。基本的なファイルについては、特徴をおさえるようにしておきましょう


経済学・経済政策

貨幣供給に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。


a 家計が現金の保有性向を高め、現金・預金比率が大きくなると、貨幣乗数は大きくなる。

b 家計が現金の保有性向を高め、現金・預金比率が大きくなると、貨幣乗数は小さくなる。

c 日本銀行による債券の売りオペレーションは、マネタリー・ベースを増加させる。

d 日本銀行による債券の買いオペレーションは、マネタリー・ベースを増加させる。

〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

【令和2年度 第1次試験「経済学・経済政策」第10問】

解説・回答

正解:エ

貨幣供給に関する問題です。貨幣乗数は以下のようにあらわされます。

貨幣乗数=(現金預金比率+1)/(現金預金比率+法定準備率)

仮に現金預金比率を0.2、法定準備率を0.2とした場合、

0.2+1)/(0.2+0.2)=3となります。

現金預金比率を0.3に上昇させると、(0.3+1)/(0.3+0.2)=1.3/0.5=2.6となります。したがって、現金預金比率を大きくすると貨幣乗数は低くなります。これは、現金・預金比率が大きくなると通貨を現金で保有する人が増え、預金で保有しようとする人が少なくなることから、市中銀行が貸し出す資金が小さくなることにつながるためです。したがって、aは不適切でbは適切な記述です。

次に、日銀の金融政策について見てみましょう。

金融政策は、物価や為替レートの安定や経済の安定を図る目的で、中央銀行(日本では日本銀行)が行います。そのうち、公開市場操作についての問題です。

公開市場操作とは中央銀行が、金融市場で有価証券(国債や手形)を売買することで、マネーサプライに影響を与える政策です。

公開市場操作には、中央銀行が保有する有価証券を市場で売って、市場の通貨を吸収する「売りオペレーション(売りオペ)」、中央銀行が、市場で流通している有価証券を買って、市場に通貨を供給する「買いオペレーション(買いオペ)」があります。売りオペレーションを実施するとマネーサプライは減少し、買いオペレーションを実施するとマネーサプライは増加します。

したがって、cの日銀の売りオペレーションは、日銀が債券を市場に売却し、資金を吸収することから、マネタリー・ベースは減少します。反対に、dの買いオペレーションをすると、日銀は市中の債券を買い、資金を供給することになることから、マネタリー・ベースは増加します。

したがって、cの記述は不適切でdの記述は適切です。

以上より、bとdが適切な記述で選択肢エが正解となります。



経営法務

以下の会話は、C株式会社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。
会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲 氏:「当社が製造販売するアイスキャンディーに使っている恐竜のキャラクター『ガリガリザウルス』をご存じですよね。いま、すごく人気が出ているのですが、このフィギュアやステッカーを作って販促品にしようと思っています。そこで、あらためて、このキャラクターの著作権が誰のものか気になって、相談したいのです。」

あなた:「その『ガリガリザウルス』の絵柄は、どなたが描いたのですか。」

甲 氏:「当社の商品開発部が考えた商品コンセプトに基づいて、パッケージデザインを担当する宣伝部の若手社員が業務として描き下ろしたものです。」

あなた:「そういうことでしたら、その絵柄は職務著作に該当しそうですね。」

甲 氏:「その職務著作とやらに該当したら、『ガリガリザウルス』の絵柄の著作権は、誰の権利になるのでしょうか。」

あなた:「社員と会社との間に契約、勤務規則その他に別段の定めがないのでしたら、著作者は

  A  となります。権利については  B  ことになります。」

甲 氏:「なるほど、分かりました。」

〔解答群〕

ア A : 従業者である社員
B: 著作者人格権は社員が有しますが、著作権は使用者である会社が有する
イ A : 従業者である社員
B : 著作者人格権は社員が有しますが、著作権は使用者である会社と社員が共有する
ウ A : 使用者である会社
B : 著作者人格権と著作権の両方を会社が有する
エ A : 使用者である会社
B : 著作者人格権は会社が有しますが、著作権は会社と従業者である社員が共有する

【令和2年度 第1次試験「経営法務」第9問】

解説・回答

正解:ウ

 本問では、職務著作についての問題です。

企業で従業員が職務上作成し、使用者の名義で公表する著作物は、職務著作となります。職務著作では、契約や勤務規則による別段の定めが無い限り、使用者が著作者になります。
それでは、空欄AとBについて見ていきましょう。

空欄Aは、職務著作の著作者について問われています。職務著作では、契約や勤務規則による別段の定めが無い限り、使用者が著作者になります。よって、空欄Aには「使用者である会社」が入ります。

空欄Bは、職務著作における著作人格権と著作権(著作財産権)について問われています。職務著作では、別段の定めが無ければ使用者が著作者になりますので、著作者に認められる著作者人格権や著作財産権も使用者が有します。よって、空欄Bには「著作者人格権と著作権の両方を会社が有する」が入ります。

上記より、ウが適切な選択肢となります。


中小企業経営・政策

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 総務省・経済産業省「平成 28 年経済センサス-活動調査」に基づき、中小企業数を見た場合(2016年)、規模別では中小企業数全体の  A   割以上が小規模企業であり、個人法人別では中小企業数全体の  B   割以上が個人事業者である。

また、総務省「平成 11年、13年、16年、18年事業所・企業統計調査」、「平成21年、26年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年、28年経済センサス-活動調査」に基づき、1999年から2016年の期間について、個人事業者数の推移を見ると大幅に減少している。
なお企業規模区分は、中小企業基本法に準ずるものとする。
文中の空欄AとBに入る数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア A: 8  B: 5
イ A: 8  B: 7
ウ A: 9  B: 5
エ A: 9  B: 7

【令和2年度 第1次試験「中小企業経営・政策」第2問改題

解説・回答

正解:ア

本問は2019年版小規模企業白書(以下、「小規模企業白書」という)p30、第2-1-1図「規模別、個人法人別、中小企業数(2016年)」からの出題です。


上図を見ますと、企業規模別では、小規模事業者は法人が33.3%、個人事業者が52%となり、合計85.3%となります。個人法人別では、個人事業者は中規模企業で3.3%、小規模事業者で52.0%となり、合計55.3%となります。



よって中小企業全体のうち8割以上が小規模事業者で、また中小企業全体の5割以上が個人事業者です。

以上より、選択肢アが適切な記述になります。


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