――独立の準備をあまりしていなかったということなんですが、最初の段階でお金を実際に稼いでいくという部分はどのようにクリアされたんですか?
酒井:そこはありがたいことに、新規事業の立ち上げをやっていた時に、一緒に手を組んでた別のベンチャー企業の方に、いいタイミングでお仕事をいただけたんです。その方とはこんな新規事業をやってみたいですね、なんて話を元々していたんですね。自分のやりたいことを包み隠さず話していたのが、独立の最初の仕事のきっかけになったという感じでした。
――最初のお仕事は具体的にどんなことをやっていたんですか?
酒井:あるITベンチャーの新規事業立ち上げです。その企業はBtoBをメインにやっている会社なんですけど、BtoCへの進出などを支援をしました。これは今も継続しています。
――最初のお仕事で苦労された点はありますか?
酒井:その会社の社長さんとは考え方に近い部分もあり、そこでは苦労はしなかったんですが、ほとんどの社員がBtoBのお仕事をしてきたエンジニアで、BtoCのビジネス感覚やノウハウを持っている人は少ないんですね。そのため、最初から現在に至るまで、「ハンズオン支援」という形で、経営側のアドバイスだけでなく、実際に手をうごかす実行部隊としてのお手伝いもしています。
実行部隊としてのお手伝いもありますので、作業時間をとられる大変さはあるんですけど、確固たる仕事の基盤を作るという意味では最初にこういった仕事ができたのは大きかったと思います。
――今度もそういった支援をやってきたいという思いをお持ちですか?
酒井:そうですね。自分の軸としては、このスタンスを続けていきたいと考えていますが、どうしても多くの支援を行える形ではないので、他の形での支援も増やしていきたいなと思っています。
――新規事業立ち上げ以外でされているお仕事などはありますか?
酒井: 自分が公的機関の仕事をするなんて想像もしていなかったんですけど、色々な縁があって、葛飾区の経営相談員をやっています。また、中小企業診断士が集まったコンサルティングファーム「コンサラート」にも所属して、そこで個人では受けられない「学生起業家選手権」のようなお仕事などをやっています。仕事のポートフォリオは広がっている感じですね。
株式会社コンサラート
中小企業診断士を中心に構成された経営コンサルティングのプロ集団。経営に関する幅広い課題をワンストップで解決している。 http://consulart.jp/
――お仕事の柱としては、「新規事業の立ち上げ」「公的機関でのお仕事」「コンサルファームでのお仕事」ということで、非常にバランスが取れている感じですね。
酒井:そうですね。新規事業の立ち上げのお仕事を軸にして、3か月から4カ月でポートフォリオが充実していったんですけど、きっかけのひとつは、コンサラートに大学の恩師がいたことですね。独立することになった際に、真っ先に声を掛けてもらえました。
自分がやりたいと思っていることをどんどん周りに伝えられたのが、早い段階での仕事のポートフォリオ形成に寄与したのではないかと思います。
――やりたいことがあっても、実績がなかったりすると口に出すことに躊躇してしまう部分があると思いますが、やりたいことを周りに素直に伝えたというのが大きかったということですね。
酒井:そうですね。あと心掛けていたのは、サービス精神をどう表に出していくかということです。なにか話があったときに、こういうのがやだとか、それは出来ませんとか簡単に言うのではなく、周りの人たちに何か喜んでもらえるものがないのかと常に考えて接してきた結果、なぜか多くの人が私のことを気に留めてくださっていた。そのサービス精神が今につながっているのではないかと思っています。
――今後のお仕事としてこういうことをやっていきたいなどはありますか?
酒井:仕事をしていくなかで、仕事などに対する考え方が近いコンサルタントの人たちとの出会いがあったんですね。そんな仲間と自分たちの独自のサービスを提供することを考えて準備をしているところです。まだ具体的にはお話できなうのですが、年齢や経験もバラバラな仲間が集まって、非常に面白い取り組みができると思っています。